9/22/2025

令和8年度調剤報酬改定の方向性を考えてみる(2)

前回に続いて、令和8年調剤報酬改定の審議について考えてみました

具体的な加算項目の話よりも、経営的には改定を迎える前の対策と改定後のスタートダッシュをしっかり対策で、いかに利益損失しない対策が必要なのではと思います


<対策のロードマップ(時系列)>

時期

目的

主要アクション

今年度中

(〜2026.3)

実績評価への基盤整備

・服薬フォロー件数、処方提案→採用率、残薬調整件数などKPI定義

・レセコン/薬歴でタグ化し月次集計開始

・地域連携(訪看・医師)との協定書/連絡票整備

・高額薬剤の紹介ルートと意思決定フロー策定

・欠品対応フロー・代替提案テンプレ作成

来年度初頭

(2026.4〜6)

実績提示と制度対応

・四半期レビュー(KPIダッシュボード提出)

・地域連携ネットワーク(輪番・共同訪問)稼働実績の可視化

・在庫回転率・欠品回避率・患者不便率等を算出

来年度中盤以降

(2026.7〜)

質・アウトカム評価への移行

・服薬フォローによる再入院抑止やQOL改善事例を提示

・処方最適化(重複・相互作用是正)の効果を金額換算

・地域在庫連携で紹介時間

・初回投与遅延の有無を指標化


<薬局類型別にみた影響と優先課題>

薬局類型

主なリスク/チャンス

重点対応

中小・単独薬局

実績不足・連携力不足

KPI整備+他薬局と地域連携網形成(紹介・夜間対応・共同訪問)

門前依存型薬局

対物中心で評価低下

服薬フォロー設計・トレーサビリティ記録構築

広域チェーン薬局

店舗格差・説明責任

グループ横断KPI設計と地域単位の連携体制

供給不安定地域薬局

欠品対応力不足

代替提案運用+在庫基準+医師合意の三位一体整備


<まとめとして経営戦略へのメッセージ>

  • 中医協は明確に「体制→実績」評価へ舵を切っている。
  • 在宅・連携・後発品供給・高額薬剤対応は、「やっている実績」を数値で示す薬局が加算評価の対象になる。➡遅くとも12月くらいまでにDX対応の目処が必須に。
  • 今年度は「証拠を残す仕組み」構築、来年度初頭は「実績提示」、来年度中盤以降は「アウトカム評価」を軸にシフト。➡売りが下がる前にコスト管理の徹底、コストの見える化も重要。
  • 地域連携薬局・健康増進支援薬局の認定制度化により、地域単位での薬局機能発揮が必須に。
  • 専門性の強みは薬局内業務の分業の徹底が必須。

9/13/2025

令和8年度調剤報酬改定の方向性を考えてみる(1)

 令和8年度診療報酬改定に審議が最終局面になってきました。

中医協「総-2 調剤について(その1)」や「地域連携薬局・健康増進支援薬局の認定基準検討資料」など最新審議資料を基に、薬局経営における重要課題と、想定されるインパクトをその他最近の関連記事をもとに整理してみました(あくまでも客観的主観ですが・・・)。


________________________________________

<審議で示された薬局経営上の重要課題とインパクト予測>

1. 「体制から実績」への評価軸シフト

  • 厚労省は、在宅薬学総合体制加算2や地域支援体制加算など、要件充足=算定可能という「体制評価」から、実施件数・アウトカム等の「実績評価」重視へ転換する考えを明示。
  • インパクト:体制整備だけで活動量が伴わない薬局は減収リスク。逆に、服薬フォロー・処方提案・残薬調整などの実績データを可視化できる薬局は評価が高まる。➡日本版「患者中心の医療」の発想✖、米国版あるいは国策の「患者中心の医療」の実践(アウトカムの見える化)がベースになる。

________________________________________

2. 地域連携薬局・健康増進支援薬局制度の再構築

  • 現行の健康サポート薬局制度は、法的名称を「健康増進支援薬局」へ改称し、届出制→都道府県認定制へ格上げ。
  • 地域連携薬局は在宅月2回以上等の実績強化、健康増進支援薬局は在宅実施までは求めず相談中心と差別化方針。
  • インパクト:地域の薬局全体で連携体制を構築・維持する責務が強まり、単独完結型より「面」での参画」が必須に。健康増進支援薬局はセルフメディケーション支援、プライマリケア対応、健康増進活動などの実績が必須。

________________________________________

3. 後発品調剤体制加算の見直しと供給責務

  • 後発品数量シェアは90.6%に達し、多くの薬局が90%以上を達成。
  • 一方、安定供給確保・欠品対応の負担が大きい薬局を一定評価する新たな仕組みが議論されている。
  • インパクト:従来型「割合評価」から、欠品時の代替提案・在庫回転・採用品目維持など運用能力の評価に転換。対応力の低い薬局は減収リスク。➡経営的には、在庫品目数・備蓄量、バイオ品の取り扱いなどのキャッシュフローのリスク。地域医薬品のリアルデータの活用、地域フォーミュラリ導入やバイオシミラーの充実など必須

________________________________________

4. 高額薬剤(注射薬)や在庫負担と連携責務

  • 調剤医療費は過去最高8.4兆円に達し、注射薬費が前年+18.9%と急増。
  • 今後、高額薬剤を扱えない薬局も患者を迷わせず紹介・連携する責務が求められる方向。
  • インパクト:単独在庫戦略ではなく、地域在庫・紹介ルート整備が経営防衛策となる。➡経営的にも地域フォーミュラリ導入やバイオシミラーの充実など必須

________________________________________

5. 薬剤師確保・人材育成とチーム医療経験

  • 大分大病院が薬局薬剤師向け「薬剤師教育センター」を開設し、チーム医療研修・復職支援を開始。
  • インパクト:地域内で病院経験や高度業務経験を有する薬剤師の確保が、連携・在宅・高度薬学管理対応力に直結。➡薬局薬剤師も連携のための病院実習の必要が求められることも
かなり「患者のための薬局ビジョン」(対物から対人へ)の完結形態として、効率的な対物業務を基本ベースにした医薬品提供体制の構築にシフトする印象を受けますね

9/07/2025

OTC類似薬の保険給付外しの薬局への影響は?

 OTC類似薬の保険給付外しの薬局への影響はどんなことになるんでしょうか?

勝手に予測してみました

来年からすべてのOTC類似薬が保険給付から外れることは考えにくいですが、なんとなくですが堰を切ったように進んでしまうような気がしています


## 結論から言うと:

診療所門前薬局への影響 ― 門前クリニックとの「一蓮托生」のリスクが顕在化

OTC類似薬の保険適用除外は、特定の診療科の門前薬局にとって存続に関わるほどの深刻な経営危機をもたらす可能性があります。その影響は、門前にあるクリニックの診療内容にほぼ完全に連動します。これは、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」の方針からも国としては実現していきたい方向性かと思います。

 

## 門前薬局リスク度ランキング

門前のクリニックの診療科によって、受ける影響の大きさは明確に分かれます。

 

Sランク(極めて深刻):皮膚科・整形外科の門前薬局

影響のメカニズム:

処方箋の激減: クリニックの処方箋の大半を占める保湿剤(皮膚科)や湿布薬(整形外科)が保険適用外となることで、薬局の売上の柱が根底から崩壊します。調剤報酬と薬剤料差益の両方が失われます。

患者来局の消滅: これまで毎月のように保湿剤や湿布薬を受け取りに来ていた安定した患者層が、ドラッグストアへ流出します。薬局に来る理由そのものが失われ、客数が絶対的に減少します。

製薬会社の追い打ち: 製薬会社が消費者向け広告を強化し、「クリニック離れ」を積極的に後押しするため、この流れは加速こそすれ、止まることはありません。

予測される未来:

特定のクリニックからの処方箋に9割以上依存しているような典型的な門前薬局は、事業の継続自体が困難になる可能性があります。

 

Aランク(深刻):小児科・耳鼻咽喉科の門前薬局

影響のメカニズム:

処方箋枚数の減少: 風邪薬や抗アレルギー薬といった軽症・急性疾患の処方箋が大幅に減少します。特に、風邪が流行する冬場や花粉症シーズンといった**「繁忙期の売上」が大きく落ち込む**ことが予想されます。

患者のOTCシフト: 保護者は子どもの軽い風邪でクリニックを受診させることをやめ、市販薬で対応するようになります。アレルギー患者も、待ち時間のないドラッグストアでの購入を選ぶようになります。

予測される未来:

季節性の売上変動がより激しくなり、経営が不安定化します。クリニックの受診患者が減ることで、薬局の経営体力も着実に削られていきます。

 

Bランク(中程度):内科の門前薬局

影響のメカニズム:

影響の限定性: 高血圧や糖尿病などの生活習慣病(慢性疾患)に関する処方箋は維持されるため、SランクやAランクの薬局のように売上の柱が完全に失われる事態は避けられる可能性が高いです。減薬やリフィルの推進がされていないとダメージは大きいかもですね。

軽症患者の処方箋減少: とはいえ、風邪や胃腸炎といった急性疾患で来局する患者は確実に減少するため、処方箋枚数・単価はじわじわと低下していきます。

予測される未来:

急激な経営悪化はないものの、長期的に売上が減少傾向をたどります。「かかりつけ薬局」としての機能(慢性疾患管理、在宅医療など)を強化できなければ、緩やかに衰退していくリスクがあります。


ここで基本的なこと

薬局の薬剤師一人当たりの処方箋枚数は、4,076枚/年=8億6,420万枚(2024年度)/21.2万人(推測)➡1日15.4枚

薬剤師1当たりの売上 3,750万円/年=処方箋単価平均9,200円✖4,076枚/年

薬剤師一人当たりの営業利益 1,275万円也(18年前は1,672万円也でした)

ここから薬剤師の給与も含め諸経費をねん出しなければならいなのですね

※あくまでも日本の全体の平均値ですからご注意を

薬局を取り巻く経営環境がかなり変わっていることは間違いないようです


OTC類似薬の保険給付外しが実行された場合

無策はあり得ないでしょうね

長くなってしまいました、続きはまた

2025.9.7

犬好きペーパー薬剤師の徒然ブログ再開

 久々に個人的に薬剤師を振り返ってみようと思い、ブログをリロケで再開をしようかと

以前に、再開と言いつつ三日坊主だったので、ちょっと本気で続けていこうと思っています

よろしければお付き合いください

とはいうものの研修などでお話は結構してきていますので、どこかで「見たし聞いたよ」ってご存じの方もいらっしゃるかもです

さて、ドラッグの取締役職を離れて、早16年で、当時の調剤の方向性は今になってやっと現実のなってきた感じです

PBMやCDTMが日本版として、どうビジネスにしたらいいのかって、結構ドラッグ幹部の仲間と論議をしたものでした

調剤薬局はここへ来てやっと「どうビジネスを成立させていくか」を真剣に考えていく必要性が現実になってきそうですね

薬剤師ライセンスは、本当にA級とB級になってしまうのか、個人的には頑張っている薬剤師のために2極化してあげてほしいと願っています

まあ、反論されることも覚悟で今起こり始めていることを取り上げて、皆さんも一緒に考えるきっかけにしていただけたらと思います

あくまでも私見とAI頼みのブログにしていきますので、よろしかったらお付き合いください

2025.9

薬剤師の退職から考える薬局経営 ──倒産最多と報酬改定の時代に、人材で勝つ構造のつくり方 薬剤師の退職事情 <後編>

 薬剤師の退職から考える薬局経営 ── 倒産最多と報酬改定の時代に、人材で勝つ構造のつくり方 薬剤師の退職事情 <後編> 2025 年の調剤薬局業界には、二つのショックがありました。 一つは倒産件数です。東京商工リサーチによると、 2025 年に倒産した調剤薬...