個別改定項目について(その1)の調剤重点項目
本日(2026/1/23)、厚生労働省中医協総会で「個別改定項目について(その1)」が公開されました。
調剤薬局において、重要なポイント48項をまとめてみました。
改定のコアは、
(1) 都市部の門前・密集立地の抑制(距離・面積・減算)、
(2) 供給不足を踏まえた“供給対応体制”の本格評価(後発加算の統合)、
(3) 電子処方箋を前提にした重複チェック等の“実効要件化”、
(4) 対人業務(残薬・有害事象・在宅)を“実績”で評価、
(5) かかりつけの独立項目は廃止し、服薬管理指導料へ実装、
の5点に整理できます。
1. 物価高・賃上げ対応(新設)
- 調剤物価対応料(新設)
- 物価高対応として新設(算定頻度は「3カ月に1回」想定)。
- 調剤ベースアップ評価料(新設)
- 賃上げ原資の評価として新設(処方箋受付ごとに算定の方向)。
- 算定には 賃金改善の体制整備の届出が必要。
- 調剤基本料の“緊急対応分”上乗せ
- 経営環境悪化への緊急対応分として、特別調剤基本料を除き各区分で増点。
2. 調剤基本料(点数引上げ+都市部の立地抑制へ大転換)
- 基本料1~3の引上げ(物価高対応)+面分業推進の重点配分
- 物価高対応として基本料の増点。加えて 面分業推進の観点から基本料1・3-ハを上乗せ的に引上げ。
- 基本料1の範囲縮小(集中率×受付回数の閾値で“2へ移行”)
- これまで基本料1だった「集中率85%超~95%以下×月1800回超~2000回以下」は 基本料2へ。
- 都市部“500m基準”の導入(距離要件)+新規開局の評価引下げ
- 政令市・東京23区で、周囲500m以内に他薬局がある等の条件で
基本料1のハードル引上げ、さらに 減算も導入。
- 都市部で「500m基準」該当かつ「集中率85%超・月600回超」の 新規は基本料2。
- 経過措置(既存都市部薬局の“みなし”)
- 5/31時点で月1800回以下で、その後も1800回以下の場合「当面の間、集中率85%以下とみなす」趣旨。
- 門前薬局等立地依存減算(新設)
- 病院近隣・医療モール内など、特定条件(距離・集中率・近接条件など)で 減算。
- 6/1以降開局の薬局が対象。
- 基本料3-ロ/3-ハ:グループ店舗数“300以上”規定を削除
- 施設基準の見直しとして、グループ店舗数要件の一部を削除。
3. 特別調剤基本料A(特A:敷地内薬局等)—“抜け道”抑制+9割減は継続
- 特Aの「同一建物に医療機関がある場合の除外規定」を削除
- 医療モール配慮の除外が“敷地内薬局側の意図的診療所設置”にも使われる問題を踏まえ、除外規定を削除。
- 経過措置:「告示時点で同一建物内に診療所が既にある薬局」は当面適用しない
- 既存薬局への激変緩和。
- 特Aに紐づく“基本料加算9割減”は継続、グループ減算は今回も見送り
- 特Aの厳格運用を維持。
- 特Aの対象拡大:敷地内に「オンライン診療受診施設」を設置した場合も特A
- へき地での例外的設置(薬局内は原則禁止、医療計画上のへき地のみ容認の方向)との整合で、敷地内設置は特A扱いへ。
- へき地の例外:自治体所有地・周囲4km以内に他薬局がない診療所敷地内薬局は「基本料1」算定可
- “敷地内=特A”の一律化ではなく、へき地アクセス確保に配慮。
- 特Aは物価高対応の基本料引上げの対象外
- 物価高の増点が特Aには及ばない。
- 特Aでは新設の一部加算も9割減の対象
- 新たに設ける「地域支援・医薬品供給対応体制加算」「バイオ後続品調剤体制加算」等も9割減算対象。
4. 地域支援体制加算:後発・供給対応を統合し再設計(5区分化)
- 地域支援体制加算を「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に改称
- 後発医薬品割合要件を追加しつつ、医薬品供給(安定供給)対応を評価軸に組み込み。
- 区分:現行4区分→5区分へ
- 評価のメリハリを拡大。
- 後発医薬品調剤体制加算は廃止(地域支援側へ統合)
- 後発の評価を地域支援(供給対応)に統合。
- 施設基準(供給対応)を明確化:計画調達・在庫管理・分譲実績(グループ内不可)・在庫欠品時の案内等
- 供給不足局面での“地域の供給拠点”機能を評価。
- 重要供給確保医薬品(内用・外用)は1カ月程度の備蓄努力
- 供給レジリエンスを薬局側に実装させる方向。
- 新たな“構造/運用”要件:調剤室面積16㎡以上(6月以降の新規・改築等)、セルフメディケーション機器、未承認検査薬等の提供NG
- 都市部では賃料負担が重く、開局抑制の実質要因になり得る。
- 実績要件の見直し:薬剤一元管理の疑義照会・残薬調整の一定算定などを要求
- “体制だけ”でなく“実行実績”へ。
- かかりつけ薬剤師相当の残薬対策(服薬管理指導料1のイ)も実績として求める方向。
- 経過措置:3/31時点で後発医薬品調剤体制加算を届出済の薬局への取扱い
- 統合に伴う激変緩和。
5. 医療DX(調剤):区分統合+電子処方箋での重複チェックを要件化
- 医療DX推進体制整備加算を「電子的調剤情報連携体制整備加算」に改称
- マイナ保険証利用率で分かれていた 3区分→1区分へ。
- 要件追加:電子処方箋システムによる「重複投薬等チェック」を行う体制
- “データ連携の実効性”を条件化。
- 医療情報取得加算は廃止
- DX加算側の整理(重複・一本化)。
6. 調剤管理料(対人評価へ寄せる):区分再編+加算廃止
- 調剤管理料:4区分→2区分へ再編(28日以上/27日以下)
- 日数区分の評価差を縮小し、対人業務(薬学的管理の質)の評価重視へ。
- 調剤管理加算は廃止
- 管理料側の整理。
7. ポリファーマシー・残薬・有害事象:旧「重防」廃止→新加算で再設計
- 重複投薬・相互作用等防止加算/在宅患者重複投薬…管理料は廃止
- 旧評価を整理し、新評価に付替え。
- 調剤時残薬調整加算(新設)
- 患者・家族から聞き取り→残薬調整を評価。
- 原則:飲み残し等が確認され 7日分以上相当の処方日数変更で算定。
- 例外:6日分以下でも、必要性判断+理由を明細書記載で可。
- 在宅や、かかりつけ薬剤師が実施した場合などで 点数区分を分ける考え。
- 薬学的有害事象等防止加算(新設)
- 残薬以外の“服用薬の一元管理に基づく薬剤調整”を評価。
- 電子処方箋で重複確認→照会→処方変更に至った場合に算定。
- 在宅・かかりつけ薬剤師実施等で区分を分ける考え。
- 処方箋様式の見直し(残薬対応の円滑化)
- 備考欄で「減量して調剤→医療機関へ情報提供」を指示できるようにする。
- 減量調剤時は、残薬状況・理由・実交付数量等を 原則翌営業日までに情報提供、お薬手帳記載等を留意事項通知で規定予定。
8. かかりつけ薬剤師:独立評価を廃止し、服薬管理指導料へ実装
- かかりつけ薬剤師指導料/包括管理料は廃止
- 実質機能は 服薬管理指導料へ引き継ぎ、継続指導や訪問しての残薬対策などを評価する設計へ。
- かかりつけ関連要件の整理(個人要件)
- 「保険薬局勤務経験3年以上」は維持。
- 「当該薬局での継続在籍」1年以上→6カ月以上へ短縮。
- 週32時間→週31時間以上へ。
- 薬局単位の新要件(定着・安定運用の担保)
- 薬剤師の平均在籍期間「1年以上」を要求。
- 管理薬剤師は当該薬局に「3年以上」在籍が必要。
9. 吸入・無菌:対象拡大と頻度見直し
- 吸入薬管理指導加算:対象にインフルエンザ感染症患者を追加
- 算定間隔:3カ月に1回→6カ月に1回へ、点数も見直し。
- 無菌製剤処理加算:加点対象年齢を15歳未満まで拡大
- 小児(15歳未満)への中心静脈栄養法用輸液の無菌調製は点数引上げ。
10. バイオ後続品:調剤体制と患者説明を“新たに”評価
- バイオ後続品調剤体制加算(新設)
- バイオ後続品の使用促進体制を評価。
- 施設基準の方向:規格単位数量での後続品割合80%以上となる成分数が、実績成分数の60%以上(望ましい)など。掲示も要求。
- 特定薬剤管理指導加算3-ロ:バイオ後続品の説明を算定対象に追加
- 品質・有効性・安全性の説明を行った場合も算定可。
11. 在宅(薬局):施設基準を“設備”から“実績”へ、個人在宅の評価を明確化
- 在宅薬学総合体制加算2:無菌設備基準を廃止し、実績要件を強化
- 単一建物患者1人(主に個人在宅)の訪問算定回数、麻薬調剤(直近1年10回以上)、無菌調製(直近1年1回以上)、常勤換算薬剤師3人以上等を要件化。
- 在宅薬学総合体制加算2:個人在宅と施設在宅で点数を細分化
- 個人/施設の実態差を点数設計へ反映(点数は今後議論)。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料:算定間隔を「週1回」に
- 「6日以上」要件を廃止し、“週1回”へ整理。
- 複数名薬剤管理指導訪問料(新設)
- 複数名(薬剤師以外含む)での訪問が必要な患者を評価(医師が必要性を認める)。
- 訪問の同時介入を評価(新設)
- 医科「訪問診療薬剤師同時指導料(6カ月に1回)」
- 調剤「訪問薬剤管理医師同時指導料(6カ月に1回)」
12. 病院→薬局連携(調剤へ波及する“施設間薬剤情報連携”の再設計)
※医科側改定ですが、退院・転院時の薬剤情報連携の流れが変わるため、薬局運用に直結します。
- 薬剤総合評価調整加算:施設間の文書連携(ポリファーマシー対策の継続)を評価し、点数見直し
- 退院時薬剤情報連携加算:廃止(薬局提供に限定した評価の整理)
- 病棟薬剤業務実施加算:上記算定回数が多い場合の新たな評価区分を新設