9/03/2026

電子処方箋の義務化を「守れば死なない制度」と読むな

 電子処方箋の義務化を「守れば死なない制度」と読むな 

——抑止のルールから、先に展開しないと残れない基盤へ

 

令和13年(2031年)の電子処方箋システム導入義務化を見据え、それに先行する形で令和9年(2027年)4月より、導入済みの薬局において「すべての処方箋での重複投薬等チェック」および「調剤結果のリアルタイム登録」が義務化される見通しです。

日々の業務に追われる現場の管理薬剤師や経営陣からは、「また入力の手間が増えるのか」「現場の負担が重くなるだけだ」という嘆きが聞こえてきそうです。確かに、制度だからといって受動的に対応するだけでは、経営メリットは最小(あるいはマイナス)にとどまります。

国策の意図を、従来の薬事・保険ルールと同じ「抑止」で読むと、現場は最小対応に閉じる。電子処方箋に代表される医療DXは、違反を罰して止めさせる制度ではない。つながっていない組織が、次の患者・次の改定・次の連携から外れていく制度である。

 

電子処方箋の話になると、現場の反応は今でも二つに分かれやすい。

ひとつは、「義務化されるから登録する」「加算の要件だからチェックする」。 

もうひとつは、「義務の前に全件回し、医院と病棟と患者に先に使わせる」。

 

前者は、従来のルールの読み方である。後者が、今回の国策の読み方だと思う。

従来の多くの規制は、抑止だった。やってはいけないことを定め、守っていれば免許は維持され、個別指導さえ乗り切れば生存できた。電子処方箋に代表される制度は、その型ではない。厳守していれば死なない制度ではなく、先んじて展開しないと生き残れない制度である。ここをはき違えると、令和9年4月のチェック・登録義務も、令和13年の導入義務も、「事務負担の増加」にしか見えない。

この記事は、その読みが政策の動きと整合するかを検証したうえで、薬局経営者、薬局長、病院薬剤部幹部向けに、先行展開の中身を対応例を示します。

 

検証:抑止規制と基盤制度は、何が違うか

抑止型の典型は、こう動く。

u  禁止事項と罰則(または減算)を置く

u  守っている限り、現状維持が許される

u  評価は「やっていないこと」の摘発に偏る

u  先行者利益は小さく、遅れても最後に合わせればよい

 

電子処方箋側の動きは、逆である。

▶目標が「設置」から「使うこと」へ移った◀ 

当初は2025年3月までに概ね全国へ導入、だった。薬局はほぼ届き、医療機関は大きく遅れた。見直し後の新目標は、保険制度下の処方箋について「速やかに概ねすべての調剤結果を登録すること」と、電子カルテを持つ医療機関への一体導入である。測るものが機械の有無から、データが乗っているかに変わった。抑止ではなく、基盤の充足である。

 

▶報酬が「持っている」から「動かしている」へ寄った◀ 

医療DX推進体制整備加算の段階評価は、電子的調剤情報連携体制整備加算(月1回8点)に一本化された。点数そのものは入場料に近い。一方で、残薬調整と有害事象防止は実施と関係性(かかりつけ・在宅)で30点と50点に分かれ、フォローアップや訪問、服用薬剤調整支援料2は「やった行為」に乗った。守っている店と、データを使って処方を変えた店では、同じ原材料でも単価が変わる。

 

▶義務の置き方が「遅れて入ればよい」を許さない◀ 

導入済み薬局では、令和9年4月から全処方箋のチェックと調剤結果登録が順守事項になる見通し。未導入には令和12年末までの経過措置、システム導入は令和13年1月からほぼ全面義務化。経過措置は慈悲ではなく、遅れている側への時限である。時限が切れたあとに「これから始めます」では、医院・患者・地域の情報の流れはすでに先行店へ固定されている。

 

▶公開指標が、導入率の次に活用率を見始めた◀ 

デジタル庁のダッシュボードは、導入に加えて調剤結果登録率、チェック実行、アラートを出す。登録しない店、チェックしない店は、内部の問題ではなく、外部から見える欠落になる。抑止規制は密室の違反を探す。基盤制度は、つながっていないことを可視化する。

 

公式文書の文言は、今も「重複投薬等の防止」「医療安全」が主である。その建前を否定する必要はない。ただし仕組みの設計は、安全を「個人の努力」ではなく「全国の直近データ」で担保する方向に移っている。担保手段がデータ基盤である以上、乗っていない組織は、安全の議論の外側に置かれる。これが、守っていれば足りる規制との決定的な差である。

注意すべき点もある。電子処方箋単体で明日倒産するわけではない。病院の導入遅れは続いており、薬局だけが先に走っている歪みもある。二次利用の収益は現場にほとんど落ちない。だからこそ、はき違えが起きる。「まだ医院が紙だから様子見」は、抑止規制なら合理的だ。基盤制度では、その間に自店の調剤結果が他施設の判断材料にならず、自店も他施設の直近薬を使えない。遅れのコストは罰則ではなく、関係の喪失として先に来る。

 

国策の意図を、現場語に訳す

国が欲しいのは、紙の電子化ではない。欲しいのは、次の四つが同時に回る状態だ。

1. どこで処方・調剤されても、直近の薬が見える 

2. 渡す前に重複と禁忌を機械的に一度は見る 

3. その記録が、次の医院・薬局・救急・本人に使える 

4. 将来、レセプトや電子カルテや介護とつなぎ、多剤と供給と医療費を観測できる 

 

1〜3が一次利用、4が制度側の二次利用である。薬局と病院薬剤部が今取るべきは4の収益ではない。1〜3を自組織の業務の前提にすることである。ここを「義務だから入力する」と読むと、入力はコストになる。先に展開すると、入力は次の介入の原材料になる。

社会保障への貢献も、同じ場所にある。重複を止める、残薬を減らす、供給の実消費を見せる、入院と転倒の手前で剤数を落とす。貢献を別事業にすると現場は二度手間になり、義務対応に戻る。先行展開とは、社会貢献用の特別業務を増やすことではない。通常業務の順番を、データが先に来る形に変えることである。

 

 「先に展開する」の中身は、システム導入ではない

導入は入口にすぎない。生き残りの差は、その後の四層でつく。

Phase1: 当日登録とチェックを100%にする。これはもう競争優位ではない。免許の更新に近い。 

Phase2: アラートを処方変更まで運ぶ。ここで30点または50点が乗る。 

Phase3: 変更が必要だった患者を、かかりつけ・フォロー・訪問・在宅に載せる。単発の応需が継続の関係になる。 

Phase4: 医院・病棟・介護へ、結果とコメントを定型で返す。相手の次回判断の材料になる店・部署だけが、情報拠点として残る。

 


引用元:令和8年度電子処方箋オンライン説明会ー診療報酬改定でどう変わる?業務・経営面のポイントを解説!  /厚生労働省


抑止の読み方をする組織は、Phase1で止まる。基盤の読み方をする組織は、Phase2を生産ラインにし、Phase3と4で関係を積む。令和8年度改定は、すでにPhase1の評価を薄くし、Phase2と3に点を移している。次の改定を待つ必要はない。点数の置き方が、先に答えを出している。

病院薬剤部も同じである。院内処方情報と地域の調剤結果を、持参薬確認と救急と退院連携の前提にするか、従来どおり聞き取りで足りると見るか。人手不足の部署で聞き取りを残すことは、品質の問題であると同時に、人件費の問題である。先に展開するとは、確認を人からデータへ渡し、変更と説明を人に残すことだ。

 

最小対応が、なぜ最小利益で終わるか

電子的調剤情報連携体制整備加算は月1回8点である。守りの収入としては小さすぎる。一方、同じチェック結果を変更まで運ぶと、有害事象防止と残薬調整が30点または50点になる。かかりつけ経由のフォローは50点、訪問は230点、調整支援料2は1,000点。原材料は義務化で全店に配られる。差は、Phase1で終えるか、Phase2以降へ変換するかだけだ。

「様子見」の経済計算も、抑止規制の残滓である。経過措置中に始めなければ、

Ø  近隣医院は、結果が返る薬局へ患者を流し始める 

Ø  在宅・施設は、持参薬確認が短い事業所を選ぶ 

Ø  職員は、手作業の薬歴と聞き取りが残る店から先に疲れる 

Ø  次の改定で「活用実績」が要件になったとき、ログが無い 

 

罰則の前に、相手と内部の選択が起きる。基盤制度の死は、行政処分より先に、紹介と採用と単価で来る。

 

先行展開の現場手順(抑止対応との差)

抑止対応は、営業後にまとめて登録し、チェック実施率だけを見る。先行展開は、受付直後に仕分ける。

n  赤:禁忌・同一成分重複 → 疑義必須 

n  黄:類似薬理、多剤、残薬、ハイリスク → 指導で確認し、変更候補にする 

n  緑:問題なし → 短く渡す 

 

緑に時間を均等配分するのは、抑止の基本であり生産性はなく、リスクにもなり得る。基盤の運用では、赤黄に時間を再配分する。全患者に同じ丁寧さは、安全でも経営でも最適ではない。

週次で見る数字も変える。登録率とチェック率は層1の点検にすぎない。見るべきは、アラート後の変更率、30点と50点の比、黄・赤患者のかかりつけ化、疑義1件の所要時間、多剤患者の継続である。病院なら、持参薬不一致の発見と処方反映、退院情報の到達率に読み替える。

近隣医院への渡し方も変える。「電子処方箋に対応しています」は設置の申告である。「当日中に全件登録する。次回診察前に直近薬が見える。疑義と残薬はコメントで返す」が、基盤の申告である。医療機関の電子処方箋はまだ遅い。その歪みを、様子見の理由にしない。薬局が先に台帳を持っている期間こそ、医院にとっての必要理由になることが将来の安定につながる。

患者への言葉も変える。「マイナを出してください」は利用率30%の作業文である。「他院の薬との重なりを、渡す前に全国データで見ています」が、先行展開の文である。便利の話ではなく、事故の手前の話にする。価格競争から降りる理由も、同じ文で足りる。

 

タイプ別の「先にやる」場所

門前は、門前医院への結果還元と他院薬の拾い上げを先に固定する。集中率の防衛は立地ではもう持たない。医院の次回処方に自店データが必要になる状態を先に作る。

面分業は、複数科の高齢者を先にリスト化する。データの限界価値が最も高い層であり、層3への変換が速い。

チェーンは、赤黄緑と算定漏れ点検を本部標準にする。導入の差ではなく、変換率の差を店舗KPIにする。

在宅は、持参薬確認を電処前提に先に書き換える。50点区分は、関係がある店にしか乗らない。

病院薬剤部は、入院時の地域調剤結果閲覧と、退院時の中止薬・継続薬の返しを先に手順書へ落とす。電子カルテ情報共有と電処を別物にしない。国の新目標は、すでに一体導入である。

 

18か月は「義務に間に合わせる」計画ではない

抑止の計画は、施行日の前月に研修する。基盤の計画は、施行日を「すでに回っている日」にする。

今から3か月で、当日登録とチェックを標準にし、変更したのに算定していない取りこぼしを金額で出す。 

4〜9か月で、変更率とかかりつけ化と、主要医院への定型還元を固定する。 

10〜18か月で、在宅・病棟の確認手順をデータ前提に書き換え、令和9年4月を新業務として迎えない。

令和13年の導入義務は、未接続が保険事業からの除外の時期になり得る。そのとき差が残るのは機械ではなく、Phase2以降の型と、医院・病棟との返し方である。義務の朝に型を作り始めても、相手の動線は動かない。

 

最後に

従来ルールの読み方を、電子処方箋に持ち込むな。

抑止の制度は、守っていれば死なない。 

電子処方箋に代表される基盤は、先に展開した側が、次の患者と次の点数と次の連携を取る。遅れは処分の前に、関係の喪失として来る。

国策の文言は安全である。仕組みの意図は、安全を全国の直近データで張ることだ。張る網に乗っていない組織は、安全の外側に置かれる。8点を取ることは入場である。生き残るのは、データを使って処方を変え、次の医療者に返し、患者に残った店と部署である。

義務化されるからやる、は最小対応である。 

義務化される前に使い切る、が今回の制度の正しい読みである。

 

 

8/31/2026

薬剤師免許は「入場券」にすぎない

 薬剤師免許は「入場券」にすぎない

―― 現役薬剤師と薬学生に贈る、2030年の生存スキルと「職場の選び方」


薬剤師過剰時代

薬剤師がOECD加盟国中薬剤師数は断トツトップであり、文部科学省から公表された「令和9年度からの私立大学等の収容定員の変更に係る学則変更予定一覧」から薬学部定員の削減、学部閉鎖など将来薬剤師数は確実に減少する傾向、また、昨今の薬局M&Aの活発化など薬剤師は確実に職場が選べなくなる可能性とベースアップに反して年収低下の予想が色濃くなってきている。

一方で、病院薬剤師はさらなるタスクシフトによって薬剤師の格上げと職域拡大になっていく可能性が非常に高いが、病院の再編により職場の絶対数が減少する可能性が非常に高い。

暗い将来ばかりなのか、薬剤師の将来について、いろいろと考えてみたい

 

薬剤師の需給予測から考える薬剤師のキャリア・待遇の二極化

  • 専門性と賃金の分断:供給過多の市場では、「資格を持っているだけ」の薬剤師は需給バランスの崩れから給与水準の低下(ワーキングプア化)に直面します。一方で、高度な薬学管理能力を持ち、在宅医療で他職種と連携できる薬剤師や、経営マネジメントができる薬剤師は、引き続き高く評価される。
  • 新しい職域の開拓:薬局・病院の枠を超え、介護施設専属の薬剤師、製薬企業やヘルステック企業でのメディカルアドバイザーなど、医療の周辺領域で自ら職域を開拓する動きが活発化する。

 


1. まず数字を直視する ―― 過剰は「確定」した

耳の痛い話から始めます。

日本の薬剤師は、人口10万人あたり199人。OECD平均(86人)の約2.3倍で、世界でダントツの多さです。届出薬剤師数は2024年末で32万9千人。私の試算では、この数は2030年代半ばに約34万7千人で頭打ちになり、その後は微減に転じます。厚生労働省の需給推計はもっと踏み込んでいて、2045年には少なく見積もっても2.4万人、最大で12.6万人が過剰になるとしています。

薬局は全国で6万3千軒。コンビニより多い。この飽和状態に、財政審は2026年4月、薬学部定員の大胆な削減を提言しました。文科省の来年度(2027年度)計画では、すでに8校で計320人の定員減が動き出しています。私立60薬学部のうち31校が定員割れ、うち10校は充足率が5割を切っている。

数字は、はっきりと「もう増やす時代ではない」と言っています。

 


2. でも、悲観する話ではない ―― 消えるのは「椅子」ではなく「種類」

ここで諦めないでください。過剰の先を歩いた国が、答えを見せてくれています。

アメリカは、かつて薬剤師不足を心配して薬学部を乱立させ(2008年91校→2018年136校)、卒業生を年7千人から1万5千人近くまで増やしました。結果、供給過剰で賃金は停滞し、新卒の就職難が起きた。2010年以降、全米の薬局の約3分の1が閉鎖。かつて3位だったRite Aidは2025年、全店舗を閉じて消滅しました。薬学部志願者は2013年をピークに減り続け、卒業生は2018年から2024年で24%も減った。

しかし――ここが肝心です。消えたのは「調剤を捌くだけの汎用薬剤師」であって、病院・臨床の薬剤師の需要はむしろ維持された。大手が飛びついた「プライマリケア進出」という多角化はことごとく失敗しましたが、臨床に踏み込んだ薬剤師は生き残った。

イギリスも、10年で実質約3割の報酬削減で薬局の閉鎖が続きました。しかし国は「Pharmacy First」(薬局が7疾患を直接診るサービス)を導入し、98%の薬局が参加、相談は450万件を超えた。そして2026年9月からは、新しく資格を取る薬剤師全員が登録初日から独立処方者になる。イギリスは薬剤師を「調剤の人」から「臨床判断する人」へと制度ごと押し上げたのです。

私がブログで何度も書いてきた一言を、もう一度言わせてください。

「資格」と「資質」は違う。

免許は、あなたが薬剤師の仕事を「できる」ことを証明する入場券にすぎません。過剰時代に椅子を残すのは、免許ではなく、やり続けて積み上げた資質のほうです。

 


3. だから、磨くべきスキルはこの4つに絞る

世界の潮流と日本の政策を突き合わせると、これから価値になるスキルは「自動化・オンライン化されにくく、対人・臨床・経営で価値を生む」領域に集約されます。7つ挙げてもいいのですが、現役・学生の皆さんはまずこの4本柱で十分です。

① 臨床・薬物療法マネジメント(すべての土台) 検査値や病態を読み、フィジカルアセスメントを行い、調剤後にフォローし、多剤服用を減薬提案する力。疑義照会を「間違い探し」から「能動的な処方提案」へ引き上げる。アメリカやカナダで薬剤師が権限として行使している領域を、日本では医師連携を前提とした専門提案として積む。ここが最後まで残る需要です。

 

② 対人・行動変容コミュニケーション 患者は「薬剤師から説明を聞きたい」という声を年々強めています。「前の薬が効かなかった」「調子が悪いから先生に内緒で飲んでいない」――こうした本音を処方に紐づけて聴き取れれば、それは処方提案の糸口になる。オンラインでは代替できない、対面の核です。

 

③ 予防・健康支援・保険外の値付け 骨太2026は「健康増進に資する薬局機能・薬剤師の役割の強化」を初めて明記しました。フランスは大腸がん検診キットの交付を1件3ユーロで、イギリスは血圧測定を1件10ポンドで「業務として定義」した。診断はしない、見つけてつなぐ、支払者は患者でなく保険者・自治体。この設計を理解し、「地域貢献」に必ず値札をつける発想が、新しい収益源になります。

 

④ データ・DX・AIを使い倒す力 電子処方箋・電子薬歴を前提に、AIで対物業務を圧縮し、生まれた時間を対人に再配分する。DXは目的ではなく「専門性を発揮する時間を生む手段」です。重複投薬の解消実績や服薬継続率をデータで語れる薬剤師が、これからは選ばれます。

 

病院志望の方は、これに⑤高度薬学管理(がん・感染・緩和・無菌調製・高額薬の適正使用)を加えてください。過剰の「例外領域」であり、専門・認定資格が「選ばれる根拠」になります。



 


4. 【本題】職場の選び方 ―― 「立地で選ぶな、機能で選べ」

ここからが、多くの人が誰も教えてくれない話です。過剰時代は、どの職場を選ぶかが、あなたのスキルが伸びるか埋没するかを決めます。

避けたほうがいい職場のサイン

  • 門前・立地依存で食べている(処方箋集中率が高く、特定の医院頼み)。2026年度改定で「門前薬局等立地依存減算(▲15点)」が新設され、これは国からの事実上の撤退勧告です。立地で稼ぐモデルは構造的に痩せていきます。
  • 対物一辺倒。調剤を捌く効率だけが評価され、対人業務加算の算定実態が薄い。ここにいると、あなたはアメリカで消えた「汎用薬剤師」に育ちます。
  • 教育が「採用アピール」で止まっている。研修制度が立派でも、実際に専門・認定薬剤師が育っていないなら、看板だけです。
  • 減点主義。ミスをしないことだけが評価軸で、介入や地域貢献が評価されない職場。

 

選ぶべき職場のサイン

  • 在宅・面応需の実績がある。今のM&A市場でも、買い手が薬局を評価する軸は処方箋の処理能力ではなく「在宅実績」と「対人業務の質」に移りました。ここが企業価値を分けています。
  • 対人業務加算を実際に算定できている(かかりつけ薬剤師指導料、服用薬剤調整支援料など)。制度の点数を「取れる体制」がある職場は、あなたのスキルを収益に変えてくれます。
  • キャリアが複線化している。「企業全体の仕組みを作るマネジメントコース」と「認定資格を取り在宅・専門を極めるプロフェッショナルコース」が分かれ、どちらも同等に昇給できる。全員を管理薬剤師にしようとする職場は、専門性を潰します。
  • タスクシフトが進んでいる。ピッキングや在庫を事務・補助が担い、薬剤師が対人業務に集中できる。あなたを知識労働者として扱う職場です。
  • DX・データ活用と予防・健康支援に前のめり。健康増進支援薬局(2027年に認定制へ移行)や地域連携を、次の事業として設計している。

 

見学・面接で、必ず聞いてほしい5つの質問

提案書はいりません。質問を持っていってください。

  1. 「かかりつけ薬剤師指導料や服用薬剤調整支援料は、月に何件算定していますか」
  2. 「在宅は何件回っていますか。訪問はどなたが担当していますか」
  3. 「認定・専門薬剤師は在籍していますか。取得を会社は支援していますか」
  4. 「管理薬剤師にならなくても、専門性で昇給できる制度はありますか」
  5. 「対物業務は、事務・補助スタッフにどこまで移していますか」

答えに詰まる職場、数字が出てこない職場は、まだ対物の世界にいます。すらすら数字が出る職場は、あなたを対人・臨床の薬剤師に育ててくれます。

 


5. 「明日から」やること ―― 立場別に

薬学生の皆さんへ

  • 大学選び・進路を「国試合格率」だけで決めない。合格率は入口の話です。臨床実習の質、卒後に専門性が伸びる進路(病院・在宅に強い薬局・企業)まで見てください。定員割れが深刻な大学は、これからの淘汰リスクも頭に入れておく。
  • 一次資料を読む癖をつける。骨太方針、需給推計、改定の概要。学生のうちから「政策が薬剤師に何を求めているか」を追える人は、就活でも現場でも強い。
  • 迷ったら、臨床を積める場所を選ぶ。最初のキャリアで臨床判断の筋肉をつけた人は、どこへでも行けます。

 

若手現役(〜30代)の皆さんへ

  • 今日の投薬で、ワンクエスチョンを足す。「前のお薬、効いていましたか」「困っていることはありませんか」。そして反応を薬歴に残す。対人の筋肉は、この積み重ねでしかつきません。
  • 認定・専門の一歩を今年踏み出す。1領域でいい。「選ばれる根拠」を1つ持つと、キャリアの景色が変わります。
  • 職場に上の5つの質問を、自分の会社にも問い直す。答えが濁るなら、動く準備を始めていい時期です。

 

中堅・ベテラン現役の皆さんへ

  • 後進に「対人の背中」を見せる。あなたの疑義照会の質、患者との5分間が、若手の資質を作ります。
  • 対物を手放す設計をする。自分が抱えている作業を、補助スタッフに移す。空いた時間を在宅・地域連携に振る。
  • 「地域貢献」に値札をつける実験を1つ始める。未受診者の把握・受診勧奨を記録し、半年後に「◯件つないだ」と数字で言える状態を作る。自治体も保険者も、実績のある相手にしか発注しません。

 


6. やってはいけない3つのこと(キャリア版)

1. 対物のうまさに安住すること。 「速く正確に捌ける」は、これから最も自動化される能力です。それだけを磨くと、あなたはアメリカで消えた薬剤師の道を辿ります。

2. 資格取得を「ゴール」にすること。 免許も認定も入場券。取ってから「やり続ける覚悟」がなければ、資質にはなりません。

3. 自分の価値を「無償」で差し出し続けること。 真面目な薬剤師ほど、頼まれれば無料でやってしまう。でも、値札のつかない仕事は制度の中で「存在しないこと」になります。地域貢献も、自分のスキルも、必ず価値として示してください。

 


7. まとめ ―― 群れを導く犬になれ

犬の世界では、優れたリーダー(アルファ)が進む方向を示すから、群れの一頭一頭が安心して自分の役割に集中できます。過剰時代の薬剤師も同じで、「調剤を捌く一頭」で終わるのか、「治療に介入し、地域を診て、価値に値札をつける一頭」になるのかが問われています。

過剰は確定した。でも、過剰で消えるのは職種ではなく「種類」です。対物を機械と補助者に譲り、対人・臨床・予防・経営で武装し、その価値に必ず値札をつける――そういう薬剤師と、そういう薬剤師を育てる職場だけが、椅子に座り続けます。

免許は入場券にすぎません。そこから先の景色は、あなたが積む資質と、あなたが選ぶ場所が決めます。

数字は厳しい。だからこそ、悲観ではなく、設計の話をしましょう。



明日、確認してほしいチェックリスト

  • 自分は「対物のうまさ」と「対人・臨床の力」、どちらで評価されているかを言語化してみる
  • 今日の投薬で、患者にワンクエスチョンを足し、反応を薬歴に残す
  • 職場に5つの質問(対人加算の算定件数・在宅件数・専門薬剤師・複線キャリア・タスクシフト)を問い直す
  • 認定・専門薬剤師の1領域を決め、今年の一歩を踏み出す
  • (学生)志望校・進路を国試合格率だけで選んでいないか、臨床が積めるかで見直す
  • 自分の「地域貢献」に、値札をつけられないかを1つ考える

8/24/2026

日本の医薬分業80%、"完成した"と言えるのか

 日本の医薬分業80%、"完成した"と言えるのか 

――薬剤師の資質は医薬分業に耐えうるのか


書き出し ――月曜の夜、門前の薬局で思ったこと

この記事について

8か国の現状、調剤報酬の後発品戦略、患者意識調査の3本立てで現状を可視化し、明日から現場で動かせる具体的アクションにつなげるブログ。

1. 世界の医薬分業は、当初「処方の独立チェック」から始まった

全国の分業率が80%超となり、「日本の医薬分業はついに定着した」と言われるようになりました。街を見渡せば、クリニックの門前には必ずと言っていいほど薬局の看板が並んでいます。

しかし、個人的に高血圧の治療薬のために近隣の調剤薬局を毎月利用していますが、「ほとんど何も聞かれないのに、薬学管理料とか服薬管理指導料は何をしてくれてるんだろう」と思わされること。薬局巡りして9件中8件です。今のところ何も変化がないので聞かれても困るんですが、なのにお金を取られている感じは否めません。

なので、現場で日々患者さんと向き合い、あるいは薬局経営に奔走している皆さんに、先輩のひとりとしてあえて問いたいのです。

医薬分業の起源は、1240年の神聖ローマ帝国フリードリヒ二世による「薬剤師大憲章」といわれています。当時の大義は、明快でした。「主治医が毒殺を企てた場合にも、調剤者が処方の妥当性を独立にチェックできるようにする」 ――つまり、医師不信を想定した制度です。

この発想は、850年後の今も欧米の薬剤師職能の中核に息づいています。ドイツの医師は薬局を所有できず、薬剤師の独立性は憲法レベルで保障されている。米国では薬剤師が医師と「Collaborative Practice Agreement(CPA)」を結び、全50州で処方箋なしに薬を交付したり、処方を調整したりできる。フランスでは1999年から薬剤師に後発品への一方的置換権が認められ、薬局ボーナスと直結している。NHS Englandは2026年9月から卒業薬剤師全員に独立処方権を付与する方針を打ち出しました。

理由は単純です。患者が複数の診療科にかかり、多剤併用が常態化した社会では、医師単独の処方では安全を確保しきれなくなった。だから、分業の本場は「処方の独立監査」を国家制度として作り込んできた。

 

2. 日本の医薬分業は、まったく別の目的から始まった

これに対して日本の医薬分業は、どこから始まったか。

1974年、厚労省は処方箋料を6点から50点へ一気に引き上げました。これは経済誘導です。医師が院外処方箋を発行すれば医療機関の収入が増え、薬局の調剤が伸びて院内の薬剤管理負担が減る。厚生労働省の公式文書には「薬価差益の解消」と「医師と薬剤師の専門分化」が併記されますが、政策実務としての最大の駆動力は前者だったと、後年の研究で示されています(慶應義塾大学 医薬分業政策研究)。「薬漬け日本の解消」が目的です。

その後、厚労省は1997年に37のモデル国立病院に「院外処方箋受取率70%以上」を指示したことで分業が加速し、2024年度の分業率は82.1%(日本薬剤師会「保険調剤の動向」速報値)に達しました。令和7年度は82.2%で、過去最高を更新しています。

一見、完成した数字です。しかし、この数字が「患者のために動く分業」を意味するのかどうかを、私は患者として日々疑問でなりません。

 

3. 「目的のズレ」が、現場薬剤師の職能を規定した

ここからが、私が話したかった本題です。

目的が違うなら、必要な資質も違う。

欧米の薬剤師は「処方の独立監査・臨床介入」のために訓練され、その権限を持ちます。日本の薬剤師は「調剤報酬の最大化と、薬歴を通じた服薬指導」という枠組みのなかでスキルを積んできました。これは「悪い」ことではありませんが、患者が本当に求めている役割からはズレている可能性があります。

日本総研「調剤報酬の国際比較」が示した数値が、私は衝撃的です。日本の薬局の技術料と薬価差益の合計は対GDP比で0.43%。同じ数字はイングランドで0.14%、ドイツで0.16%。日本の薬局はGDP比で約3倍の資源を投下しています。一方で、薬剤師密度はOECDで199人/10万人と最多、薬局数も6万2828軒(令和5年度末、厚生労働省衛生行政報告例)に及びます。

OECDで最も多くの薬剤師を、最も多くのコストで動かしているのが、日本の「医薬分業」の姿です。

ところが、現場の薬剤師の様子はどうか。制度疲労の色濃い指標が出ています。

指標

数値

出所

処方箋集中率85%以上の薬局の割合

2015年32.5% → 2024年39.3%(悪化)

厚労省ビジョン進捗、日経DI 2025年12月

電子処方箋 薬局導入率

2025年6月時点で 82.5%(普及)

厚労省電子処方箋

電子処方箋 医療機関導入率

2025年3月末でも1割未満

厚労省、gemmed

疑義照会率

2.91%(処方変更率1.54%)

日本薬剤師会2023年調査

調剤医療費

2023年度 8兆2,678億円(初の8兆円超え)

厚労省

技術料

2兆2,474億円(対前年+5.7%)

同上

薬剤料

6兆41億円(同+5.5%)

同上

ポイントは4項目の電子処方箋の非対称性です。薬局側は8割超が対応済みですが、医療機関は1割すら届かない。処方する側と調剤する側の情報基盤が噛み合っていないので、重複投薬チェックは「薬局の運用努力」に依存し、システムでは担保されていない。

そしてもう一つ。「門前薬局からの脱却」を掲げた2015年の「患者のための薬局ビジョン」は、2024年に処方箋集中率85%以上の薬局がむしろ増えていることで、進捗は事実上失敗しています。厚労省も中医協で「集中率85%超かつ600回/月超の薬局は調剤基本料1から除外すべき」と支払い側から意見が出るほど、現場の構造は硬直しています。

国策で求めていることは「薬漬け日本の解消」であり、これと異なる薬局企業の経営戦略を取り続けているから、毎度経営に困る悪循環スパイラルです。原則2年に一度の診療報酬改定、特筆は毎年の薬価改定です。安易に確立できるビジネスモデルの崩壊は瞬間であることは異業種では常識です。

50年前から言われている国策を無視して、なぜここに固執するのでしょうか?

バブルは崩壊しています、本気でやるか、撤退しかないと考えるのが常套ではないでしょうか?(すみません現場を離れると客観的過ぎて酷評なのかもしれません)

 

4. 8か国レーダーが示す、日本の輪郭

ここれ世界と比較してみましょう。OECD Health at a Glance 2025 をはじめとする一次データを基に作成した8か国レーダーチャートが、この構造を一目で可視化してくれます。

レーダーの5軸は、A.薬剤師密度、B.薬局密度、C.後発医薬品数量シェア、F.サービス報酬実装度、H.薬剤師相対賃金(年収÷GDP PPP)。日本はA(199人/10万、OECD最多)とC(2024年82.75%、令和6年3月診療分)では高い位置にありますが、F(サービス報酬実装度)では英米の半分以下、H(相対賃金)も東京平均と全国平均で評価が1.0〜2.0倍に割れる構造です。

英国はF軸で突出しています。NHS Englandが2024年に開始した「Pharmacy First」は、7疾患について薬局が直接コンサルテーションを行うサービスで、適用後のconsultation件数は爆発的に伸びています。フランスは2019年3月から薬剤師によるワクチン接種が常態化し、後発品置換は薬局のボーナス算定に直結する。この2国は「分業の仕組み」を薬剤師の権限拡張に直結させている。

日本はどうか。重複投薬防止加算(処方箋の約1.29%)とリフィル処方箋(2022年4月導入)はある。が、独立処方権はゼロ、後発品は「医師が変更不可としない限り」(実質は事前合意が慣行)、ワクチン接種も条件付き。厚みのある加算体系は持っているのに、決定的な「裁量の幅」を持つに至っていない。

 

5. 患者は何を求めているか――そして薬剤師が応えきれていない理由

RAD-AR(医薬品リスクマネジメント協会)が公的統計として公表している20〜60代の患者さん・一般生活者1500名への意識調査では、近年「処方薬の説明は薬剤師から聞きたい」という回答が増え、薬剤師の説明に対する期待は確実に高まっています。

しかし、実際の患者満足度は伸び悩んでいるのが私の肌感覚です。内科医院の門前に3軒の薬局が並んでいるような地域では、患者は「自分が慣れた薬局」に行くのであって、「自分の症状をわかってくれる薬剤師」を選んで薬局に行く人は限られます。薬局の「待ち時間」と「立地」は最適化されても、「薬剤師の質」は埋没しがちです。

私が門前薬局で何度も耳にした患者さんの本音は、こういうものです。

「(薬剤師さん)忙しそうだから、聞きたいことがあっても聞けない」 「今日は薬局の人と話しができた。気分が軽くなった」 「この薬は前にもらったことがある。やっぱり効かなかった」ともすると「こすりを飲むと調子が悪くなるから先生には内緒で飲んでいない」

3つ目、4つ目の言葉――「前の薬が効かなかった」、「薬で調子が悪くなっている」――を、薬剤師が処方に紐つけて聴き取れたなら、それは処方提案(疑義照会)の糸口になります。しかし、それを聴き取るには薬剤師が患者と「5分以上対話する余裕」を持つ必要があります。

この余裕を作るには、制度側の仕組みが必要であり、現状の技術料+薬価差益の構造では「投薬後の5分間」が評価されにくい。厚労省は2024年度改定で「医療DX推進体制整備加算」を新設し、対人業務へのシフトを打ち出しました。2025年6月の薬価中間年改定、2026年度の診療報酬改定で「対物から対人へ」のシフトは徐々に加速しているものの、調剤基本料1の集中率85%超問題が象徴するように、構造改革は遅々として進まない。

これが、私が現場で感じている「評価されない薬剤師」の正体です。患者は説明を聞きたい、薬剤師は関与したい、制度は加算で報酬を出す。しかし、薬局の構造がそれを許さない。門前薬局の「待ち行列」と「敷地内薬局の特別調剤基本料A(5点)」が、薬剤師の権限ではなく立地で収益が決まる構図を残している。

 

6. 明日の店舗で、私自身が始めた3つのこと<20年も前の話ですが>

批評はここまでにして、ここからが本題です。私が自分の薬局で変えてみたことを共有させてください。

一つ目:「診療科ごとの服薬パターン」を薬局側で可視化する。同じ医院からの処方でも、処方医ごとに薬剤の選択倾向がある。これを薬局で把握し、「処方監査の観点」を明示する形で疑義照会を行えば、医師側も薬局側の視点を学ぶ。かつ、それは服薬指導の質を底上げする。私たち現場の感覚値だが、医院が門前薬局と「協議」を始めるきっかけは、実は疑義照会の質である場合が多い。

二つ目:地域の医院と「共通の服薬フォローアップ基準」を作る。かかりつけ薬剤師指導料の仕組みを使い、医院と薬局で「再診前に薬局が電話フォロー、結果を医師にフィードバックする」運用を試す。2024年度改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は、こうした連携に対する評価を初めて明示した加算です。医院側は再診前の情報が手に入り、薬局側は服薬フォローに対する報酬が算定できる、双方の利害が一致する設計になっている。

三つ目:後発品の数量シェアと金額シェアの差を意識する。厚労省は2024年、後発品の数量シェアは2029年度末までに全都道府県で80%以上を継続目標として確認しつつ、新たに金額ベースでも65%以上を副次目標として打ち出した。数量シェアは82.75%(令和6年3月診療分)に達したが、金額シェアは数量ほど伸びていない。これは薬局の後発品置換率向上次第で数字が変わる。地域の医院、医師会の先生に、後発品の安定供給やバイオシミラーへの取り組みを地道に説明し、合意ベースで置換を進めていく。フランスの1999年改革のように「薬剤師の一方的置換権」を日本が導入するかはまだ未知数だが、少なくとも現場で薬局が置換を進めること自体は、現在のインセンティブ構造で十分に可能です。

そして、薬局の経営にとって最も重要なのは「立地ではなく機能での差別化」に舵を切ること。2026年度改定では新規出店を抑制する「門前薬局等立地依存減算(▲15点)」が新設される運びで、集中率85%超の門前薬局の報酬を引き下げる構造が明確化された。これは、「立地で食べてきた薬局」に対する明確な撤退勧告と読むべきだろう。

 

7. 結論 ――「資格」と「資質」は違う

日本の医薬分業は、形式面で82.1%という世界でも有数の高さに到達しました。しかし、その数字が患者さんの安全や満足度、医師との適切な役割分担にどれほど接続しているかは、薬剤師の「資質」次第です。

患者さんへの対人業務、電子処方箋を通じた地域の重複投薬チェック、医院との能動的な連携、後発品への戦略的関与、ワクチン接種やかかりつけ機能の日常的な実装――。これらは、日本の薬剤師免許があれば「できる」のではなく、現場の薬剤師が「やり続ける覚悟を持って積むもの」です。

OECD諸国で最も多くの薬剤師が、最も多くのコストで、最も門前に集中し、最も裁量が少ない――この構図を、現場から変えるのは薬剤師自身しかいない。eHealthの基盤整備、医療DX推進体制整備加算、かかりつけ薬剤師指導料、対人業務への移行。これらすべては、与えられた加点ではなく、私たちが「服薬フォローで医院に還元できる薬剤師」になるためのツールです。

数字は綺麗に進んでいる。だからこそ、私たちは「82.1%の完成形」で満足するわけにはいかない。

最後に付け加えて伝えたいこととして、今の医薬分業は日本人から取り立てた医療原資を心無い外国人がむしばんでいる制度でもあります。諸外国のように「本来あるべき医薬分業」に制度改革していかないと、資質を向上させても報われない社会保障制度でしかないことを医師も含めご理解していただきたと思っています。

日本の医師にとって処方権って何の権利なのでしょうか?

保険者の診療データ解析はかなり進められています。そして実績評価への移行で、診断行為の多くはAIに代替され、多職種からの理解のない処方権を持つ医師の社会的評価が暴落するのも時間の問題かと予測しています。


明日、確認してほしいチェックリスト

  • 自分の薬局の処方箋集中率を計算してみる(85%超なら門前依存リスクあり)
  • 医院ごとの処方監査履歴を整理し、医師別にフィードバックを試みる
  • 電子処方箋の医療機関導入が遅れている医院を把握し、行政のフォローアップ情報を共有する
  • かかりつけ薬剤師指導料の算定要件を点検し、算定可能患者を抽出する
  • 後発品の「金額シェア」65%目標を意識し、医院と数量・金額の両面で置換率を話し合う
  • 2026年度改定の門前薬局等立地依存減算を見据え、機能面での差別化施策を1つ決める

8/22/2026

薬剤師の将来スキル<2030年に向けて>

 薬剤師の将来スキル<2030年に向けて>

 

2030年までに重要かつ必要となってくる薬剤師の将来スキルについて考えてみましょう。

薬剤師の役割や機能に影響する政策・教育・海外動向、骨太2026、需給推計、教育改革、海外の処方権拡大、日本保険薬局協会の最新ビジョンを踏まえ、2030年以降に必要とされる薬剤師像とスキルを整理してみました。

 

2030年以降に「薬剤師が置かれる構造」

3つの構造的圧力が、必要とされるスキルを規定します。

① 供給過剰と対物業務の縮小。 厚労省の需給推計では、在宅医療や対人業務、病棟業務の充実で需要が増えると仮定しても供給が上回り、2045年には最大で12.6万人、少なく見積もっても2.4万人が過剰になります。しかもこの飽和は「対物業務中心の働き方を続けた場合」に決定的になるという条件付きです。つまり2030年以降、対物業務の価値だけで生き残れる薬剤師はいなくなります。

② 政策が「対人・予防・地域」へ役割を明確に振り向けた。 骨太方針2026は原案から新たに「攻めの予防医療と疾病対策」として、地域住民の健康増進に資する薬局機能および薬剤師の果たす役割の強化を明記しました。2026年度改定でも門前薬局の立地依存減算や在宅薬学総合体制加算のように、評価軸が「立地から職能発揮へ」明確に移っています。

③ 制度・現場が「薬剤師像の再定義」を宣言し始めた。 日本保険薬局協会の「薬局・薬剤師ビジョン2040」(2026年4月)は、評価体系も従来の立地や集中率といった外形的基準に固執するのではなく、医療DXにより患者の服用状況をリアルタイムに一元把握し、「継続的な情報管理と質的な介入」へ本質的に変容すべきと踏み込みました。医療DXの目的の一つを「創出された時間と情報を、薬剤師が本来の専門性を発揮することへ集中させること」と定義した点が象徴的です。

 

海外はさらに先を行っています。 英国では2026年9月から、新しく資格を得る薬剤師全員が登録日当日に独立処方者(independent prescriber)となり、2025年9月時点で英国の薬剤師の34.4%が既に独立処方者です。独立処方を認める国は英国・米国・カナダ・オーストラリア・ポーランド・スイス・デンマークに広がり、カナダは尿路感染症など対象疾患を拡大、処方の開始・調整・更新・代替を行う方向にあります。日本はまだプロトコルに基づく処方支援(PBPM)・リフィル対応の段階ですが、「臨床判断できる薬剤師」への流れは不可逆と見るべきです。

 


2030年以降に必要とされる薬剤師像

一言でいえば、「調剤の担い手」から「薬物療法と予防のマネージャー」へ。テクノロジー・非薬剤師スタッフ・調剤外部委託に対物業務を委ね、薬剤師自身は臨床判断・対人介入・予防・地域連携に時間を再配分できる人材です。教育改革もこれを先取りし、モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版(令和6年度入学生から適用)は「生涯にわたって目標とする薬剤師として求められる基本的な資質・能力」を提示し、疾病予防や個々の患者に適した責任ある薬物療法を実践できる薬剤師の養成を掲げた点が核心です。

 


必須となる7つのスキル領域

1. 臨床・薬物療法マネジメント能力(対人業務の核)
検査値・病態の解釈、フィジカルアセスメント、調剤後フォローアップ、ポリファーマシー対応と減薬(deprescribing)。検討会が示す「処方箋受付時以外の対人業務(調剤後フォロー、ポリファーマシー対応、健康サポート機能)」を実装できる臨床力が中心になります。将来的な処方関与を見据え、「なぜこの薬か」を自ら設計・提案できる思考が要件化します。

2. 予防・健康増進・セルフケア支援能力
骨太2026とU.E.N.O.Planが開いた領域です。重症化予防、生活習慣・禁煙支援、検体測定、ワクチン、スイッチOTC・零売による受診前トリアージ。「病気になってから」ではなく「なる前」に関与する力が、薬局の新規収益源にも直結します。

3. データ・デジタル・AI活用能力
電子処方箋・電子薬歴を前提に、生成AIを対物業務の効率化に使い倒しつつ、AIに代替できない臨床判断と対人の価値で差をつける力。DXは目的ではなく「専門性発揮の時間を生む手段」という位置づけを理解しているかが分かれ目です。

4. 多職種連携・地域包括ケアのコーディネート力
在宅・施設対応、ICTを介した医師・看護・介護との対等な協働。日薬が掲げる「地域医薬品提供体制」の要として、地域の中で薬剤師サービスを設計・調整できる力。

5. マネジメント・経営・アントレプレナーシップ(特に管理薬剤師・経営層)
職能を収益化する事業設計、調剤外部委託・タスクシフト下での生産性マネジメント、人材育成。立地・集中率という外形評価が崩れる中で、「何で選ばれ、何で稼ぐか」を再設計できる経営視点は、貴殿がご支援される中小薬局・病院薬剤部の経営層にとって最重要の差別化要因になります。

6. コミュニケーション・行動変容支援・倫理
アドヒアランス向上のための行動変容技法、患者中心の意思決定支援、プロフェッショナリズム。対人業務の質はここで決まります。

7. 生涯学習と専門性の深化
モデル・コア・カリキュラムが「生涯にわたる資質・能力」を掲げた通り、卒後研修・認定/専門薬剤師による専門特化が、飽和市場での「選ばれる根拠」になります。

 


薬剤師だけでなく病院薬剤部幹部、薬局経営者はこれをどう利益にするかが重要に

この7領域を「①個人が磨くスキル」と「②組織が仕組み化する能力」の2層に分け、さらに骨太2026・2026改定の評価項目(在宅、健康サポート、対人業務加算等)と紐づけると、「スキル論」で終わらず「加算・収益・採用戦略」まで一気通貫の戦略となります。

教育は投資であり、利益になる

一時的な経費削減や他力本願な価格交渉は、異業種では高い確率で自滅していく前兆戦略です。

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8/09/2026

高市政権での財務省改革人事の診療報酬改定への影響予測

 高市政権での財務省改革人事の診療報酬改定への影響予測

―― 「反減税派」宇波弘貴・新財務次官が薬局経営に投げかけるもの

2026年8月7日、財務省の事務方トップである財務事務次官に、宇波弘貴・前主計局長が就任しました。省庁人事は本来、薬局経営とは縁遠い話題に見えます。しかし今回だけは、薬局経営者と病院薬剤部の方々に「必ず押さえておいてほしい人事」だと申し上げたい。理由は単純です。新次官の宇波氏は、私たちが今まさに向き合っている調剤報酬改革の“設計当事者”そのものだからです。

本稿では、宇波次官のプロファイルと、その就任をめぐる高市政権と財務省の政治的な緊張関係を整理したうえで、次期(2028年度)以降の診療報酬・調剤報酬改定にどのような変化が予想されるかを、確度を意識しながら推論します。



1. 宇波弘貴氏とは何者か ―― 「社会保障・調剤報酬のプロ」

まず事実関係を押さえます。宇波氏は1989年に旧大蔵省へ入省し、予算編成の中枢である主計局を軸にキャリアを重ねてきました。単なる主計畑の官僚ではありません。

  • 1996年から2年間、旧厚生省(児童家庭局・保険局)へ出向し、医療保険改革の実務を経験
  • 財務省では厚生労働予算担当の主計官補佐・主計官として、年金・医療保険の査定、高齢者医療制度改革、そして診療報酬・薬価改定に直接関与
  • 主計局次長時代には、75歳以上の窓口負担2割化を含む全世代型社会保障改革を推進
  • 岸田政権では首相秘書官として「こども未来戦略」の取りまとめにも関与

日本経済新聞は次官就任にあたり、宇波氏を**「社会保障のプロ」と位置づけ、主計局長時代を含めて診療報酬改定を7回経験した**と報じています。厚労省の元幹部も「交渉相手はほとんど宇波だった」と証言しており、制度の中身を知り尽くした人物であることは間違いありません。

そして薬局にとって決定的なのが、2016年改定の潮流を生んだ張本人であるという点です。宇波氏は主計官(厚生労働第一担当)だった2015年、財務省として踏み込んだ調剤報酬改革案をまとめました。「対物業務から対人業務へ」「かかりつけ薬剤師」「門前薬局への厳しい評価」――今日まで続くこの大きな流れの源流は、この時期の財務省の問題提起にあります。



2. 一次資料が示す「宇波氏の調剤報酬観」

宇波氏の思想は、2015年12月の日経ドラッグインフォメーションのインタビューに凝縮されています。見出しは、「真に地域のために努力している薬局が報われる体系に/今こそゼロベースで調剤報酬を見直す時」。

本文で宇波氏は、薬局の数だけを見ても意味がなく、5万7000軒を超える薬局のうち住民に根差したサービスを提供している薬局がどれだけあるかが重要だと述べ、**「門前だからダメ、数が多いからダメではなく、果たすべき機能に鑑みて適正な薬局数に収れんしていくべき」**という考えを示しました。

ここで見落としてはならないのが、同じインタビューでの次の一言です。「財務省は歳出を削ることだけ言えばいいのだという人もいるが、診療報酬は医療に与える影響が大きく、間違った方向に向いてはいけない」。

つまり宇波氏は、一律削減派ではなく「機能・質を軸にしたメリハリ型の構造改革派」です。この違いは、極めて重要です。「削られる」ではなく「機能で選別される」――ここが本質です。



3. 高市政権 vs 財務省 ―― この人事の政治的文脈

今回の人事を「高市政権下の財務省改革人事」として捉えると、もう一段深い含意が見えてきます。

報道(東洋経済オンライン等)によれば、宇波氏は財務省内で**「反減税派=財政規律最重視のリーダー」**と目されてきた人物です。飲食料品減税を“悲願”とする高市首相は、就任以来くり返し財務省と距離を置いてきたとされ、今回の人事でも当初は宇波氏を勇退させ、別の幹部を次官に据える構想があったと報じられています。それを押し返し、宇波次官就任に落ち着かせたのが、旧大蔵省出身の片山さつき財務相だった――という見立てが広がっています。

政治的な暗闘の真偽はさておき、診療報酬にとって重要なのは次の構図です。

積極財政・減税を志向する政権の下で、財政規律派の宇波氏が事務方トップに立った。

この「ねじれ」は、今後の改定交渉が 「政権による政治的なプラス圧力(賃上げ・物価対応)」と「財務省による構造改革・適正化圧力」がせめぎ合う場になることを示唆します。しかも減税による数兆円規模の減収という財源制約が加わる。診療報酬という“財布”に向かう視線は、むしろ厳しくなると読むのが自然です。



4. 調剤報酬はどうなるか ―― 薬局経営者への核心

ここからが本題です。宇波氏の一貫した思想、2026年度改定の内容、そして直近の財政制度等審議会(財政審)の議論を突き合わせると、調剤分野については次の方向がかなりの確度で予想されます。

(1) 「対物から対人」の徹底は、緩まず深化する

評価の軸足は「薬局というハコ(立地・処方箋枚数)」から「薬剤師が発揮する機能」へと、さらにシフトします。2026年度改定で服用薬剤調整支援料が大幅に引き上げられたように、減薬・処方提案・服薬管理といった対人業務の“成果”への配点が今後も厚くなるでしょう。

(2) 立地・枚数依存モデルへの圧力は恒常化する

2026年度改定で新設された「門前薬局等立地依存減算」、医療モール内の集中率合算ルールは、まさに宇波哲学の具体化です。財政審の資料でも、改定の検討過程で**「薬局が小規模乱立に陥っている」**という問題提起がなされ、さらに医療保険財政の観点から医療分野の量的規制を検討する示唆にまで踏み込んでいます。門前・枚数依存型の収益モデルへの圧力は、一過性ではなく“標準運転”になると考えるべきです。

(3) 薬剤給付そのものが見直し対象に

薬価の毎年改定に加え、OTC類似薬の患者負担(特別料金)、長期収載品の選定療養拡大、リフィル・長期処方の推進など、「保険で給付する範囲」と「患者が負担する範囲」の線引きが調剤報酬と並行して進む可能性が高い。薬局の収益構造そのものに関わる論点です。

(4) DX・データは「加算」から「前提条件」へ

電子処方箋やデータ連携は、「導入したら加算」から、いずれ**「成果を示せなければ評価されない」**方向へ移行しうる。重複投薬の解消実績、服薬継続率、多職種連携の実態など、アウトカムをデータで語れる薬局が相対的に有利になります。



5. 診療報酬全体の見通し ―― 「必ずマイナス」ではない

診療報酬本体についても触れておきます。ここは慎重な留保が必要です。

宇波路線=単純な引き下げ、と早合点してはいけません。直近の2026年度改定はむしろ逆で、本体がプラス3.09%(2年度平均)と約30年ぶりの高水準となりました。物価高と賃上げ対応が押し上げた結果です。

したがって現実的な見立ては、「高齢化の範囲内に伸びを抑えつつ、物価・賃上げ対応分を加算し、その財源を機能に応じて付け替える」という運用の継続です。名目上はプラス改定でも、その配分は病院機能・処遇改善・政策誘導に限定され、診療所・調剤基本料・長期処方関連などで適正化(マイナス調整)が組み込まれる。「全員が勝つ改定」ではなく、機能別の実質的な勝ち負けが拡大する改定になる、というのが最も根拠に整合的な予測です。

加えて、宇波氏が全世代型社会保障改革を推進してきた経歴から、現役世代の負担軽減・高齢者負担の見直しと診療報酬改定が“一体パッケージ”で語られる傾向は強まるでしょう。



6. 冷静な留保 ―― 人事は政策を「決定」しない

過度な期待も過度な不安も戒めておきます。

第一に、調剤報酬の点数の細部は中央社会保険医療協議会(中医協)が、改定率は年末の大臣折衝が決めます。財務省の影響は、あくまでマクロの改定率と財政審の建議を通じた間接的なものです。第二に、宇波氏はもはや査定最前線の主計局長ではなく、日々の予算査定は後任の坂本基・新主計局長のラインが担います。次官は省全体を統括する立場であり、調剤報酬という個別テーマに直接手足を動かすわけではありません。

ですから、正しい読み方はこうです。

「宇波次官だから調剤報酬が急変する」のではなく、「宇波氏が長年主導してきた路線が、省のトップとして制度的に定着・長期化する」。

方向転換ではなく、路線の固定化。これが確度の高い結論です。




7. まとめ ―― 薬局経営者は何をすべきか

宇波次官の就任が薬局に突きつけるメッセージは、破壊的な引き下げの予告ではありません。**「2026年度改定で始まった機能・質による選別が、一過性ではなく恒常化・深化する」**という長期シグナルです。

裏を返せば、方向性は明確です。

  • 門前・処方箋枚数に依存した収益モデルからの脱却を、経営計画の前提に据える
  • 在宅医療・ポリファーマシー対策・退院時支援・多職種連携など、対人業務の“実績”を積む
  • その成果をデータで可視化し、地域における自局の機能を説明できる状態をつくる

宇波氏自身の言葉を借りれば、目指すべきは「真に地域のために努力している薬局が報われる体系」です。厳しい選別の裏で、機能を磨いた薬局には確かな追い風が吹く――そう捉えて、今から手を打つことをお勧めします。


(本稿は公開情報・報道・本人の過去発言に基づく筆者の推論です。政治的経緯に関する記述には観測に基づく部分が含まれます。最終的な改定内容は今後の中医協・大臣折衝・厚生労働省告示をご確認ください。)

8/03/2026

薬局経営を管理薬剤師に任せきりにしていませんか?

薬局経営を管理薬剤師に任せきりにしていませんか? 

~そろそろ「企業」としての本格的な組織経営を始めよう~

26年診療報酬改定もソロ祖落ち着いてきたころではないでしょうか。

さて、今日は少し視点を変えて、全国の中小薬局オーナーの皆様へ「組織経営」のお話をしたいと思います。

ズバリお聞きします。 「薬局の経営やマネジメント、現場の管理薬剤師に丸投げしていませんか?」

かつては「良い立地に店舗を構え、優秀な管理薬剤師に現場を任せておけば回る」時代でした。しかし、地域連携薬局の推進や高度な専門性が求められる今、そのやり方は限界を迎えています。

そろそろ、薬局「単体」の運営から脱却し、法人「全体」での本格的な組織経営へとシフトする時期が来ています。


現場のリーダーは「プレイングマネージャー」の限界にいる

管理薬剤師の多くは、非常に優秀で真面目です。目の前の患者さんのために全力で調剤や服薬指導に向き合ってくれます。

しかし、彼らは「薬のプロ」であって、必ずしも「組織作りのプロ」ではありません。 対物業務から対人業務へのシフト、多職種連携、さらにはスタッフのシフト管理や育成……。すべてを現場のトップ一人に背負わせると、疲弊して身動きが取れなくなってしまいます。皆さんの薬局に「大谷選手は何人いますか?、彼らの年収は億でしょうか?」

ないものねだりができる状況ではありませんので、組織論の基本に立ち返ってみましょう

ここでヒントになるのが、ビジネスの世界でよく語られる「2つの組織論」です。

1. ゼークトの組織論:「怠け者」が組織を動かす?

ドイツの軍人ゼークトが提唱した有名な「人間の4類型」をご存知でしょうか? 人材を「利口/愚鈍」と「怠け者/働き者」で分ける考え方です。 これを薬局の組織に当てはめると、驚くほどスッキリします。

  • 利口で怠け者(=経営・統括陣) 無駄を嫌い、効率を考えるタイプ。自ら現場を走り回るのではなく「どうすれば組織全体が上手く回るか」の仕組みを作ります。ここが本来のマネジメント層です。

  • 利口で働き者(=専門・かかりつけ薬剤師) 自ら動き、専門性を追求するタイプ。現場の最前線で高度な医療知識を提供し、地域住民の信頼を勝ち取るエースです。(まさに優秀な牧羊犬ですね!)

  • 平凡で怠け者(=調剤補助・事務スタッフ) 決められた手順を正確にこなす屋台骨。マニュアル化された業務を確実に回してくれます。

経営者がやるべきは、現場のエース(利口で働き者)にマネジメントまで丸抱えさせるのをやめ、「仕組みを作る役割」と「現場で専門性を発揮する役割」を明確に分けることです。


これは私自身の経験則でもありますが、なんでも教育をすれば成功すると考えるのは間違いです。教育は人材採用のアピールとしては非常に有効ですが、実際育成につながるかというと20%くらいでしょうか。それよりも、人財を活かす方法をまず理解すべきです。


2. ドラッカーの組織論:薬剤師は「知識労働者」である

もう一つ忘れてはならないのが、ピーター・ドラッカーの視点です。 薬剤師は、高度な専門知識を持った「知識労働者(ナレッジワーカー)」。彼らを、かつての工場労働者のように「処方箋を何枚さばいたか」「ミスなく作業したか」というマニュアルと減点主義で縛り付けてはいけません。

ドラッカーは「組織は、人の強みを生産的にし、弱みを無意味にするための道具である」と言っています。知識労働者のマネジメントに必要なのは、組織の目的(=地域医療への貢献)を共有し、自律的に動ける環境を整えることです。


企業全体で戦うための「3つの人事改革」

では、具体的にどう組織を変えていけばいいのでしょうか? ペーパー薬剤師からの提案は以下の3つです。

① 薬剤師のキャリアパスを「2つのコース」に分ける 全員に管理薬剤師(マネジメント)を目指させる必要はありません。「企業全体の仕組み作りや外部交渉を担うマネジメントコース」と、「認定資格を取り、在宅や地域連携を極めるプロフェッショナルコース」を明確に分け、どちらも同等に評価・昇給できる制度を作ります。

② 「減点主義」から「バリュー評価」へ ミスのない調剤は当たり前の前提とした上で、「かかりつけ同意取得数」や「地域ケア会議への参加実績」「企業間連携への貢献」など、自社の戦略にいかに貢献したかを評価する「加点主義」へ移行します。

③ タスク・シフティングの徹底(強みへの集中) 薬剤師が「対人業務(知識労働)」に集中できるよう、ピッキングや在庫管理などの「対物業務」は、事務スタッフや調剤補助に徹底的に移行(タスクシフト)します。事務スタッフを「調剤アシスタント」として専門職化し、スキルアップに応じた評価制度を設けることも重要です。


まとめ:群れを導くリーダーになろう

犬の世界でも、優れたリーダー(アルファ)が群れの進むべき方向を明確に示すからこそ、他の犬たちは安心して自分の役割に集中し、存分に能力を発揮できます。

薬局経営も同じです。 現場の優秀な薬剤師に「あとはよろしく」と丸投げする時代は終わりました。経営陣自らが大局的な視点で「企業としての組織・役割分担・評価制度」をデザインする。それこそが、これからの厳しい時代を生き抜く地域薬局の条件ではないでしょうか。

2030年に向けた社会保障制度改革をスムーズに乗り切るための経営装備としては非常に重要と考えます。ぜひ構造改革を!!

8/01/2026

ピーター・ドラッカーの経営思想に基づく薬局経営のサジェスチョン

 

ピーター・ドラッカーの経営思想に基づく薬局経営のサジェスチョン

〜面応需・在宅医療の拡大、地域貢献からのビジネス展開、そして事業モデル転換のために〜

 

なぜ今、ドラッカーか

近年の日本の薬局経営は、単なる「処方箋を待つ門前モデル」から大きくシフトを求められている。人口動態の変化、地域医療構想、2026年改定以降の調剤報酬の方向性、面応需の実質的推進、在宅医療の拡大、ドラッグストアの調剤併設加速などにより、「立地依存の競争優位」は急速に崩れつつある。

代わりに求められるのは、

  • 面応需と在宅を軸にした顧客基盤の再構築
  • 地域貢献を「コスト」ではなく「事業の中核」に据えること
  • 調剤薬局から「地域の健康・薬物療法のプラットフォーム」への事業モデル転換

である。

ピーター・F・ドラッカーの思想は、この転換に極めて実践的な指針を与えるものであり、彼は「事業の目的は利益ではなく顧客の創造である」「組織は社会の器官である」「成果をあげるのは人であり、特に知識労働者である」と一貫して説いた点は、私も薬局経営に携わった当初彼の著書を読み漁ったものです。まさにこのようなタイミングが来るべきだとも強く感じ始めていたころだったこともあり、経営指標よりも経営方針の軸としてぶれないように設定したことをよく覚えています。

今後、薬局が直面している現状のケースに、ドラッカーの核心思想を適用した具体的なサジェスチョンを示してみました。



ケース1:面応需・在宅医療の拡大 ― 「顧客の創造」と「顧客が価値とするもの」の徹底

ドラッカーの思想 「事業の目的は、顧客を創造することである。マーケティングとイノベーションが事業の基本機能である。」 「顧客が買っているのは製品ではなく、満足である。」(『マネジメント』ほか)

薬局への展開:門前依存からの脱却とは、「処方箋の枚数を増やす」ことではなく、「患者・家族・地域が本当に価値を感じる薬物療法・健康支援を創造する」ことである。

具体的サジェスチョン

  1. 顧客の再定義:一次顧客を「処方箋を持ってきた人」から「継続的な薬物療法管理を必要とする地域住民・在宅患者・その家族」に広げる。二次顧客としてケアマネジャー、訪問看護、地域包括支援センターを明確に位置づける。
  2. 価値の再定義:患者が本当に買っているものは「薬」ではなく「安心・副作用の最小化・生活の質の維持・家族の負担軽減」。在宅訪問時の服薬アセスメント結果を「見える化」し、医師・家族にフィードバックする仕組みを標準化する。
  3. 非顧客へのアプローチ:現在来局していないが潜在的に価値を感じうる層(多剤服用の高齢者、認知症初期の家族、施設入居前の在宅患者)を意図的に探索する。地域の健康教室やケアマネ向け勉強会を「マーケティング活動」として位置づける。

この視点を持つ薬局は、面応需を「処方箋の分散化」ではなく「顧客基盤の多角化と深化」として設計できる。



ケース2:ビジネスモデルの転換 ― 「イノベーション」と「体系的廃棄」

ドラッカーの思想 「明日のために昨日を捨てよ。」(体系的廃棄) 「イノベーションは、既存の資源に新しい富を生み出す能力を与えることである。」(『イノベーションと企業家精神』)

薬局への展開:門前モデルが機能しにくくなった今、「昨日の成功要因」を意図的に捨て、新しい事業定義を行う必要がある。

具体的サジェスチョン

  1. 体系的廃棄の実施:
    • 「特定医療機関の処方箋比率が一定以上」という前提を意図的に捨てる。
    • 「調剤業務の効率化だけが利益源」という前提を捨て、対人業務・在宅・予防・多職種連携を収益・価値の中核に据える。
  2. イノベーションの焦点:
    • プロセス・イノベーション:調剤の外部委託やDX活用を「コスト削減」ではなく「薬剤師の時間を対人業務・在宅にシフトさせる手段」として設計する。
    • サービス・イノベーション:在宅薬学総合体制加算や地域支援体制加算を「算定のための要件」ではなく「地域における新しい価値提供の仕組み」として組み立てる。
  3. 起業家精神の組織内導入:小規模な実験(特定疾患の在宅モデル、施設連携のパイロット)を「失敗を許容した学習の場」として位置づけ、成功したものを本業に組み込む。

廃棄とイノベーションを同時に行うことで、薬局は「調剤所」から「地域薬物療法マネジメント組織」へ転換できる。



ケース3:薬剤師のマネジメント ― 「知識労働者」としての扱い

ドラッカーの思想 「知識労働者は、自らの仕事を自ら定義し、自らの成果を自ら測定できなければならない。」 「知識労働者に対しては、監督ではなく、支援と自己管理の環境を整えよ。」

薬局への展開:薬剤師は典型的な知識労働者である。処方箋調剤の効率化を優先しすぎると、最も価値を生む「判断・コミュニケーション・専門性」が犠牲になる。

具体的サジェスチョン

  1. 成果の再定義:調剤枚数・待ち時間短縮だけでなく、「副作用早期発見件数」「医師への提案採用率」「在宅患者の服薬アドヒアランス改善」「多職種からの信頼度」などを成果指標に加える。
  2. 自己管理の仕組み:各薬剤師が「自分の専門領域と貢献領域」を明確にし、半期ごとに「どのような成果を出すか」を自ら設定・報告する目標管理制度を導入する(ドラッカーのMBOの薬局版)。
  3. 強みの活用:全薬剤師を「万能」にしようとするのではなく、在宅得意、コミュニケーション得意、データ分析得意など、個人の強みに役割を寄せる。弱点の矯正より強みの発揮を優先する。

これにより、薬剤師不足の中でも「量」ではなく「質と成果」で勝負する組織文化が生まれる。



ケース4:地域貢献からのビジネス展開 ― 「組織は社会の器官である」

ドラッカーの思想 「企業は、社会の中に存在する器官である。その存在意義は、社会に対して貢献することにある。」 「社会的責任を果たすことは、事業のコストではなく、事業機会である。」

薬局への展開:「地域貢献」を美辞麗句やCSR活動で終わらせず、事業の中核に据える。

具体的サジェスチョン

  1. ミッションの明確化:「我々は何のために存在するのか」を「処方箋を正しく調剤すること」から「地域の人々が薬物療法を通じて可能な限り自立した生活を送れるようにすること」に引き上げる。
  2. 貢献の事業化:健康サポート薬局機能、認知症対応、ポリファーマシー対策、在宅移行支援などを「加算を取るための活動」ではなく「地域から必要とされる存在理由」として設計し、結果として加算・面応需・信頼がついてくる構造にする。
  3. ステークホルダーとの関係再設計:医療機関、介護事業所、行政、住民を「取引先」ではなく「同じ地域の成果を共有するパートナー」として捉える。

この思想を持つ薬局は、政策が「地域貢献」を評価する方向に動くほど、むしろ追い風を受ける。



ケース5:経営の方向性確立 ― 「経営者の5つの質問」の定期実践

ドラッカーの思想 すべての組織が定期的に自問すべき5つの質問:

  1. 我々のミッションは何か?
  2. 我々の顧客は誰か?
  3. 顧客は何を価値あるものと感じるか?
  4. 我々の成果は何か?
  5. 我々の計画は何か?

薬局への展開 経営環境が急速に変化する今、この5つの質問を年1〜2回、経営者だけでなく管理薬剤師・主要スタッフと共有して問い直すことが最も実践的な「サジェスチョン法」になる。

運用例

  • ミッション:地域の薬物療法の質と継続性を支えること
  • 顧客:外来患者+在宅患者+その家族+連携多職種
  • 価値:安心・わかりやすさ・生活への配慮・専門的な提案
  • 成果:患者アウトカム指標+地域からの信頼度+財務的持続性
  • 計画:3年後に「在宅+面応需+専門性」で地域で不可欠な存在になるための具体的ステップ

この質問を繰り返すことで、場当たり的な対応から「方向性を持った経営」へ移行できる。



結語として:薬局経営のサジェスチョン法としてのドラッカー

ドラッカーの思想を薬局に適用する際の核心は、次の3点に集約される。

  1. 顧客創造を最優先する(面応需・在宅は「顧客を創る活動」である)
  2. 昨日を捨て、明日を創る(門前依存や調剤効率化一辺倒を体系的に廃棄し、イノベーションする)
  3. 人(知識労働者)と社会への貢献を中心に据える(薬剤師の専門性発揮と地域貢献を事業のエンジンにする)

これらを「理念」で終わらせず、5つの質問・目標による管理・体系的廃棄の実践に落とし込むことが、現代の薬局経営における最も実践的なサジェスチョンにしてもらえるのではと思います。

ドラッカーは「マネジメントとは、物事を正しく行うことではなく、正しいことを行うことである」と伝えてくれています。薬局が本来の期待されている機能や役割の「正しいこと」をしっかりと定義し、実行し続けることこそが、これからの競争優位と地域での存在意義を決定づけることにつながると薬局経営者が自信と自負してほしいと思っています。

令和8年熊本地震における薬局BCPは本当に進化したのか

令和8年熊本地震における薬局BCP機能検証

~「薬局BCPは進化した」のか、それとも「社会全体のBCPが進化した」のか~

令和8年7月に発生した熊本地震では、多くの薬局が被災しながらも、医薬品供給や地域医療の継続に向けた取り組みが迅速に行われました。

SNSや報道では「薬局BCPが以前より機能した」という評価も見受けられます。しかし、本当にそうだったのでしょうか。

2016年熊本地震から10年。今回の対応を検証すると、「制度や社会インフラは大きく進歩した一方で、個々の薬局のBCPには依然として課題が残る」という姿が浮かび上がります。


2016年から何が変わったのか

まず評価すべきは、行政・薬剤師会・関係機関の災害対応能力です。

発災直後には熊本県薬剤師会が県内約780薬局を対象にWebフォームによる被災状況調査を実施し、短時間で地域全体の状況把握を進めました。電話やFAXに依存していた2016年と比較すると、情報収集能力は大きく向上しています。

また、災害薬事コーディネーター制度も定着し、県庁や保健医療調整本部との連携が早期から機能しました。薬剤師が単独で対応する時代から、行政を含めた災害医療体制の一員として活動する仕組みへと発展したことは大きな進歩です。

さらに、医療DXの進展も見逃せません。

オンライン資格確認システムの災害時モードが迅速に適用され、患者が保険証やお薬手帳を持たない場合でも、本人確認により保険診療や薬剤情報の確認が可能となりました。

これは2016年には存在しなかった仕組みであり、今回の地震で最も大きな進歩の一つと言えるでしょう。


「薬局BCPが向上した」と言い切れない理由

一方で、ここで注意しなければならないのは、「制度の進歩」と「個々の薬局のBCP」を同一視してはいけないということです。

今回の地震では、停電や断水の影響により開局できなかった薬局が複数確認されました。

建物が無事でも、

・停電で分包機が動かない

・電子薬歴へアクセスできない

・断水で衛生管理が維持できない

・通信障害でオンライン資格確認が利用できない

という状況では、薬局は事業を継続できません。

BCPとは「計画書を作ること」ではなく、「災害時でも事業を継続できる能力」を意味します。

この視点で見ると、多くの薬局では依然としてライフラインへの依存度が高く、非常用電源や通信手段、水の確保など、基本的な備えが十分とは言えない実態が明らかになりました。


「BCP策定率」は本質ではない

災害が起こるたびに、「BCP策定率」が話題になります。

しかし、本当に重要なのは策定率ではありません。

計画書があっても、

・数年間更新していない

・職員が内容を知らない

・訓練を実施していない

・設備投資が伴っていない

のであれば、そのBCPは実際には機能しません。

逆に、正式なBCP文書がなくても、

・非常用電源

・通信手段

・地域医療機関との連絡体制

・医薬品卸との連携

・職員の役割分担

が整備され、実際に運用できる薬局は、災害対応能力が高いと言えます。

つまり、評価すべきは「BCPを作ったか」ではなく、「BCPが機能したか」です。


医薬品卸との連携も進歩した

今回、あまり注目されませんでしたが、医薬品卸の災害対応能力も大きく向上しています。

東日本大震災や2016年熊本地震では、

「薬はあるのに届かない」

という物流上の問題が多く発生しました。

現在では、

・広域物流拠点の整備

・優先配送ルート

・在庫情報の共有

・行政との連携体制

などが整備され、地域全体で医薬品供給を維持する仕組みが強化されています。

薬局単独のBCPではなく、卸・医療機関・行政を含めた地域医療全体のBCPが進化している点は高く評価すべきでしょう。


今後の薬局BCPに求められるもの

今回の熊本地震から見えてきた課題は明確です。

第一に、「電源」の確保です。

電子薬歴、分包機、レセコン、冷蔵庫など、多くの業務は電力なしでは成り立ちません。

第二に、「水」の確保です。

調剤だけでなく、衛生管理や感染対策にも不可欠です。

第三に、「通信」です。

クラウド型薬歴やオンライン資格確認が普及した現在では、通信手段の確保もBCPの重要項目です。

第四に、「人」です。

薬剤師自身が被災した場合、地域内で応援体制を構築できるかどうかが事業継続を左右します。

そして最後は、「地域連携」です。

薬局単独で災害に対応する時代は終わりました。

行政、薬剤師会、医薬品卸、病院、診療所、介護事業者などとの連携を前提としたBCPへと発想を転換する必要があります。


まとめ

令和8年熊本地震は、「薬局BCPが完成した」ことを示した地震ではありません。

むしろ、「社会全体の災害対応能力は大きく進歩したが、個々の薬局にはなお改善の余地がある」ことを明らかにした地震だったと言えるでしょう。

行政の初動、薬剤師会の情報収集、災害薬事コーディネーター制度、医療DX、オンライン資格確認など、社会インフラは2016年と比較して飛躍的に向上しました。

一方で、停電や断水などライフラインの途絶によって開局できない薬局が発生した事実は、「薬局自身の事業継続力」がまだ十分ではないことを示しています。

薬局経営者が目指すべきは、「BCPを作ること」ではありません。

災害時に患者へ医薬品を届け続けられる薬局になることです。

令和8年熊本地震は、そのための課題と方向性を改めて示した重要な事例であり、今後の薬局経営を考える上で貴重な教訓となるでしょう。


【私見的提案】

薬局の事業継続には、電気・水の確保は必須です。この点の改善が全くと言っていいほど対応できていない。地域に必要とされる災害時の衛生環境を提供できることは、地域医療インフラとしては非常に有用と思われます。

令和6年能登半島地震に伴う断水長期化などを教訓とし、被災直後における生活用水の代替水源として地下水の活用を推進すべく、地方自治体が災害用井戸・湧水の登録制度を運用する際の考え方などを整理しています。

「災害時地下水利用ガイドライン ~災害用井戸・湧水の活用に向けて~ 令和7年3月」

これらのことを受けて、防災井戸の設置をする事業体も増えてきています。薬局に防災井戸の設置をしてみませんか。

費用としては、防災用の井戸としては30万円くらいです(飲用としては、別途設備が必要)。

「災害に備えて、井戸を掘る際のメリットや費用は」


いざとなったときに頼られる薬局、いいと思います。


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