新中医協公益委員での今後の展開予測
2026年3月23日、参議院本会議にて菅原琢磨氏(法政大教授)と井深陽子氏(慶応大教授)の中医協公益委員への起用が承認されました。2026年度改定の行方やその先のコンサルティング的な視点では、この人事は「データに基づいた合理化の加速」と「医療提供体制のさらなる機能分化」への強いメッセージと読み解くことができます。
特に菅原氏が小塩前会長の後任(会長職含み)として起用される点は、今後の診療報酬・調剤報酬の設計思想に大きな影響を与えると考えられます。二方の専門性から推論される方向性を整理し、今後への影響を考察してみました。
1. 菅原琢磨 氏:シームレスな「入院・外来・在宅」の統合評価
菅原氏は、中医協の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で長年、保険医療専門審査員を務めてきた経緯があります。
- 推論される方向性: 「病院から地域へ」の流れの厳格化
- 単に「薬局単体」での評価ではなく、退院時共同指導や服薬情報提供料(トレーシングレポート)など、病院と薬局の連携(情報のキャッチボール)がどれだけ実質的な医療費抑制や再入院防止に寄与しているかを、よりシビアにデータで検証する流れが強まるでしょう。
- 「外来」の機能分化についても造詣が深く、薬局に対しては「門前か、地域密着か」という二元論を超えた、具体的な機能(専門性や24時間対応など)に基づく報酬のメリハリをさらに推進する可能性があります。
2. 井深陽子 氏:患者行動の「インセンティブ設計」と「効率性」
井深氏は応用マイクロ経済学、特に健康経済学を専門とし、患者の受療行動や医療制度の効率性を研究されています。
- 推論される方向性: 「患者を動かす」報酬体系の精緻化
- 患者が「どの薬局を選ぶか」「セルフメディケーションをどう活用するか」といった行動変容を促すためのインセンティブ(加算や自己負担の調整)の設計が、より精緻になることが予想されます。
- 「納得感のある社会保障」を重視する現在の政権方針とも合致しており、薬局の対人業務が「患者にとってどれだけ価値(ベネフィット)があったか」を、患者視点のデータ(PROs: Patient-Reported Outcomesなど)を用いて評価する仕組みの導入も視野に入ってくるかもしれません。
3. 調剤報酬改定への具体的な影響(推論)
|
注目 ポイント |
予測される方向性 |
コンサルティング視点での示唆 |
|
医療DXの「活用成果」 |
単なる「システム導入」の評価から、「データ活用による重複投薬防止や副作用回避」の実績評価へ。 |
システムを入れるだけでなく、運用による「アウトカム」を可視化する支援が重要に。 |
|
かかりつけ機能の再定義 |
形式的な同意ではなく、「継続的なフォローアップの頻度と質」をレセプトやPHRデータで捕捉し評価。 |
薬剤師の「スキマ時間」をデジタルで管理し、フォローアップに充てる工程管理の提案。 |
|
多職種連携 |
介護・看護との連携を通じた「重症化予防」への寄与度を重視。 |
薬局の枠を超えた、地域の「健康維持拠点」としての収益モデルの確立。 |
推察(私見です):2026年以降の「公益委員のロジック」
二方に共通するのは、「データで説明できない加算(既得権益的なもの)には厳しい」という経済学者としてのスタンス。
「頑張っているから評価してほしい」という現場の熱意を、「この介入によって医療費がこれだけ最適化された」というロジックと数字に翻訳する力が、今後の薬局経営には不可欠になりそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿