5/30/2026

かかりつけ薬剤師の信頼性:「身だしなみ」は信頼を左右するのか?

 男性薬剤師の「身だしなみ」は信頼を左右するのか?

―最新研究から見えた“患者が本当に見ているポイント”とは

昭和医科大薬学部 岸本桂子教授の論文より

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/145/9/145_24-00200/_pdf

男性薬局薬剤師の身だしなみが患者の信頼感に与える影響に関する予備的調査

 —コンジョイント分析による検討—

 

結論から言うと…

患者は薬剤師の“見た目”をかなり重視している。 しかも、最も影響が大きいのは「白衣の清潔さ」。 これは今回紹介する論文の核心です。

論文ではこう述べられています。

「白衣の状態(きれい・汚い)が信頼感に最も影響を与えることが示された。」

つまり、薬剤師の信頼は“スキル”より前に“見た目”で大きく左右されているということ。

 

調査の概要

この研究は、25〜74歳の男女500名を対象にしたWeb調査。 8種類の男性薬剤師の写真を見せ、 「この薬剤師をどれくらい信頼できるか?」を評価してもらいました。

写真の違いは以下の5要素:

  • 髪色(黒/茶)
  • 髪型(普通/長い)
  • アクセサリー(あり/なし)
  • 白衣の状態(きれい/汚い)
  • 白衣の下の服装(Yシャツ/ネクタイ/Tシャツ)

 

もっとも信頼された薬剤師は誰?

8枚の写真のうち、最も高い評価を得たのは…

黒髪 × 普通の髪型 × アクセサリーなし × 清潔な白衣 × Yシャツ

平均スコアは 28.8点(最大35点)。

逆に最も低かったのは…

茶髪 × 長髪 × アクセサリーあり × 汚れた白衣 × Yシャツ

平均 16.1点。

この差は統計的にも非常に大きく、 研究では「効果量 r = 0.81」という“圧倒的な差”が示されています。

 

信頼を左右する要素ランキング

コンジョイント分析の結果、信頼に影響する割合はこうなりました。

  1. 白衣の状態(29.1%)
  2. 白衣の下の服装(21.8%)
  3. 髪色(18.4%)
  4. 髪型(15.4%)
  5. アクセサリー(15.3%)

つまり…

服装(白衣の状態+中の服)が全体の約50%を占める。

白衣が汚れているだけで、 どれだけ丁寧に説明しても信頼はガクッと落ちる可能性があるということ。

 

なぜ見た目がそんなに重要なのか?

論文では、

「その人との交流の開始を服装及び外見的特徴の情報で判断している」 と指摘されています。

薬剤師は患者の健康に関わる専門職。 だからこそ、“清潔感”は信頼の前提条件として強く求められるのでしょう。

 

個人的な視点

今回の研究は男性薬剤師が対象ですが、 当然ながら女性薬剤師にも同じことが言えます。

特に興味深いのは、

  • ネクタイはほぼプラス評価にならない(部分効用値 -0.008)
  • Yシャツ単体のほうが信頼される(0.341)

という点。

「ネクタイ=フォーマル=信頼される」という 従来のイメージが揺らいでいるのかもしれません。

多くのドラッグストアでは、白衣にYシャツネクタイとしているところが多く、個人薬局ではポロシャツに草履といった場面を目にすることも。その立地によってTPOがあるのかもしれません。

 

まとめ

今回の研究からわかったことはシンプルです。

薬剤師の信頼は“見た目”で大きく変わる。

特に白衣の清潔さは絶対条件。

薬剤師に限らず、 「人の健康に関わる仕事」全般に通じる示唆がある研究でした。

 

 

参考論文:昭和医科大薬学部 岸本桂子教授の論文

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/145/9/145_24-00200/_pdf

男性薬局薬剤師の身だしなみが患者の信頼感に与える影響に関する予備的調査

 —コンジョイント分析による検討—

岸本桂子,*,a 髙橋利供,b,† 赤川圭子,a 熊木良太,a 田中章浩c

A Preliminary Study on the Influence of Male Community Pharmacists’ Appearance on Patient Trust: A Conjoint Analysis Approach

Keiko Kishimoto,*,a Riku Takahashi,b,† Keiko Akagawa,a Ryota Kumaki,a and Akihiro Tanakac

a Department of Social Pharmacy, Graduate School of Pharmacy, Showa University (Currently known as Department of Social Pharmacy, Graduate School of Pharmacy, Showa Medical University), 1–5–8 Hatanodai, Shinagawa-ku, Tokyo 142–8555, Japan:

b Division of Social Pharmacy, Department of Health & Regulatory Sciences, School of Pharmacy, Showa University (Currently known as Division of Social Pharmacy, Department of Health & Regulatory Sciences, School of Pharmacy, Showa Medical University), 1–5–8 Hatanodai, Shinagawa-ku, Tokyo 142–8555, Japan: and

c Department of Psychology, Tokyo Woman’s Christian University, 2–6–1 Zenpukuji, Suginami-ku, Tokyo 167–0041, Japan. (Received October 27, 2024; Accepted June 13, 2025)

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