いわゆる敷地内薬局について、2025/10/24中医協総-2個別事項「敷地内薬局」にて検討されました。ルールのすり抜けを悪用する敷地内薬局に対しては、診療報酬の厳格化・適正化を行うべきとの方針です。「患者のための薬局ビジョン」の方向性からすれば、「敷地内薬局」はもとより、「門前薬局」の排除が明文化されているので、まったく如何なものかと思いますが、議論を振り返ってみると少し方向性が違った意見もいかがなものかと、公的保険の制度の中で患者が享受したいことが本来なのでは考えさせられます。
Ⅰ.審議会の課題まとめ
1.論点
2026年度診療報酬改定に向け、「敷地内薬局」について次の3つが焦点となっている。
- 「特別調剤基本料A」の“ただし書き”の見直し
→ 医療モール配慮として設けた除外規定を悪用し、敷地内薬局であっても高点数を算定する事例が散見される。 - 地域特例(離島・へき地対応)の新設
→ 行政誘致による薬局が「敷地内扱い」となり、経営困難化しているため例外措置を検討。 - 敷地内薬局の情報提供加算の算定制限の妥当性
→ 高度薬学管理(抗がん剤・麻薬管理など)を行う薬局が多く、現行の「算定不可」ルールを見直すべきか議論。
2.背景にある課題構造
- 医療機関と経済的・構造的に一体化した薬局が増加し、「独立性欠如」が深刻化。
- 特別調剤基本料A薬局の利益率が全薬局中で最も高い(医療経済実態調査)一方、高額な賃借料支払いが経営上の独立を覆い隠している。
- 「ただし書き」すり抜け薬局は特別調剤基本料A算定薬局の約2倍存在する。
- 2024年度改定で特別調剤基本料A=5点(通常45点)としたが、依然として経営良好・新規出店が続く。
Ⅱ.推察される方向性(2026年度改定見通し)
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改定論点 |
推察される方向性 |
影響評価 |
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① ただし書きの削除・厳格化 |
・医療モール等の正当例外を除き、“すり抜け”防止へ「削除または限定適用」化が有力。・該当薬局は自動的に特別調剤基本料Aへ格下げされる可能性。 |
高点数維持型の敷地内薬局の収益に大幅影響。 |
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② 特別ルール(離島・行政誘致) |
・地域薬剤アクセス確保を目的に「自治体誘致型」を敷地内扱いから除外へ。・医療機関と賃貸関係があっても、行政関与を条件に高点数算定を容認する方向。 |
離島・中山間地域で薬局維持が可能に。 |
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③ 情報提供・薬学管理加算の扱い |
・特別調剤基本料Aでも「がん・麻薬管理・吸入薬指導」など特定加算を限定的に容認する方向。・「経営独立性」と「高度薬学管理」を両立する評価体系へ再設計。 |
専門薬局型BS対応施設にチャンス。 |
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④ グループ減算制度の再浮上 |
・敷地内薬局を持つグループ全体を減算する“グループ減算”を再検討。 |
大手チェーン薬局のリスク増。 |
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⑤ 医療機関側評価の是正 |
・敷地内薬局と特別関係を持つ医療機関の処方箋料引下げ(60→42点など)を継続強化。 |
病院側からの誘致メリットが減少。 |
Ⅲ.薬局経営者への対策提案
1.【自局のリスク確認】構造・契約・収益構造の3点診断
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評価項目 |
チェックポイント |
推奨対応 |
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構造的独立性 |
建物所有・通路・駐車場・看板の独立性を明文化 |
建築・契約上の独立を写真・図面で提示できる状態に |
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経済的独立性 |
医療機関への賃料、設備負担、駐車場管理料など |
公正な賃貸条件のエビデンスを確保 |
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収益構造 |
特定医療機関の処方箋比率(集中率) |
50%未満を維持する体制・提携拡大を計画的に |
2.【モデル転換】“敷地内→地域拠点型薬局”への進化
- 多施設連携・在宅支援・かかりつけ化の実績作り
→ 処方箋集中率低下を「地域連携薬局」「健康増進支援薬局」届出で補完。 - DXとデータ連携強化
→ 医療機関外との情報共有(PHR・電子お薬手帳3.0)で独立性を可視化。 - 医療モール内薬局の立地説明責任
→ モール全体の「診療多様性・独立性」を文書化し、ただし書き削除後にも適用可能とする準備。
Ⅳ.経営上の視点からのまとめ
- 「独立性」の形式要件から「機能的独立」への評価シフト
→ 地域連携実績・在宅機能・DX活用が新たな報酬評価基盤となる。 - 「敷地内薬局=高収益モデル」の時代は終了
→ 経営優位性よりも「透明性・地域貢献性」が重視される。 - 行政誘致・地域医療連携の立地は例外措置で保護方向
→ 地方中核病院の周辺薬局には再チャンス。 - チェーン薬局は“グループ全体の倫理的リスク管理”が必須
→ 一部の不適切事例で全体減算を受ける可能性。
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